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第三話 「私を守ってください」

僕は今、シャルロットと名乗る少女の家、西洋建築造りのお屋敷にお邪魔していた

あのゴブリンとの戦いの後、すぐにお嬢様の救援来たと言う馬車を率いた兵士達が来た

シャルロットさんが僕達が命の恩人だということを説明してくれると

あれよあれよというまに、馬車に担ぎ込まれ運ばれて行き

お風呂まで入らせて頂き、ふかふかのベットで夜を過ごした

そして今、このお屋敷の大きな部屋で長いテーブルに出された朝食を食べ終えたとこだ

侍女さんに食べ終えた朝食が片付けられていく

そこへ、4人の男女が入ってきた

「おはようございます皆さん、朝食は口に合いましたか?」

「あ・・・おはようございます」

「泊めてくださりありがとうございます」

とりあえず挨拶して、4人は私達と向き合うようにテーブルの椅子に腰かける

一人は昨日あった少女シャルロットさんだ

僕は改めてその容姿をよく見る

長い黒髪で、足元まであるワンピースタイプの茶色を基調したドレスに胸元に藤色のリボンがついている

目はぱっちりはっきりしていて

肌が白く健康的な印象を与える

・・・それにしても見るば見るほど僕にそっくりだ

身長も声も似てる、多分スリーサイズも?

違うのは髪型とお嬢様然とした佇まいくらいだ

「まずは、先日は助けて頂き感謝致します」

シャルロットさんは頭を一礼さげる

「あなた達の事情は聞いているわ、無一文で遠い国からやってきたそうね」

シャルロットさんには異世界から転移したことはふせ(シャルロットさん達を混乱させかねないために)、僕達は遠い国の旅人ということにした

「しかしこうしてあなた達を屋敷に招いたのも・・・やってもらいことがあるからです」

やっぱりそうきたか

昨日も身代わり令嬢だとか影武者令嬢だとか言ってたし

ただの助けたお礼で泊めさせてわけじゃないだろうし

「でもまずは本題に入る前に、自己紹介しておきましょう」

僕達はそれぞれ簡単に名乗る

「ユイさんにユキムラさんユウさんね」

「じゃあ私からも、私はシャルロット・ウィステリアって言うの」

下の名はウィステリアか・・・確か英語で藤の花って意味だったけ

「両隣にいるのは私の両親ガーランド・ウィステリアとセーラ・ウィステリア」

両隣にいる30代から40代くらいの中年の男女はシャルロットさんの両親

ガーランド・ウィステリアさんは短髪の黒髪のオールバックで、茶色い紳士服を着ているのが特徴の厳つい顔をした男性

セーラ・ウィステリアは藤色の髪色の長髪で、白いドレスと手袋、頭より大きな大きい帽子キャプリンを被っていてるのが特徴の女の人だ

「お父様とお母様は選挙で選ばれたこの国の国王と王妃なの」

「うむ、よろしくお嬢さん達」

「すみませんね、昨日は娘がご迷惑をお掛けして・・・」

僕達三人は思わず、口を開けて驚いてしまう

豪華なお屋敷だと思ったけど、このまさか目の前にいる人が王様だとは

それを感じさせない雰囲気なのは

王様とかはお城に済んでるイメージや、確かに貴族っぽい服装だけど派手でない質素な普通の紳士淑女の格好をしているからだろうな

「後ろで控えてるのはこの国の騎士団長で幼馴染のウィルバート・エルよ」

「・・・別に俺はいいだろシャル」

「挨拶くらいしなさい、ウィル」

シャルロットさんはウィルバートさんに呆れた口調で言う

シャルロットさんの後ろで立っている人は、騎士団長と呼ばれるだけあって背筋がピンとしていていかにも軍人らしい鋭い目つき赤髪で身長が高いのが特徴の男の人だ

「と言ったところで本題に入りましょうか・・・」

「昨日、私が何故あんなことを言い出したか・・・・・それはね」

昨日言われた事を思い出す

お願い!私の身代わり令嬢になって!

何故あんな事を僕達に言ったのか?

シャルロットさんが過去話を交えながら説明しだす


まずここはオーブ王国という名前の国らしい

オーブ王国はこの世界で凄いめずらしいといわれる民主的な国で

国の代表は、現職の国王が寿命・事故・戦争なので死亡した場合に立候補した人の中から国民の投票で選ばれると法律で決められているらしい

彼女、シャルロット・ウィステリアさんはそんなオーブ王国でこの国の外交や情報を担当する末端の官僚の家に生まれた

シャルロットさんの祖父はオーブ王国で何十年前から現在まで務めている官僚だ

お父さんもまだ一年前は国王ではなく、この国の騎士団長だったらしい

その家の貴族の娘として生まれたらしい

シャルロットさんは15歳になるまでオーブ王国で特になんのこともない

普通の貴族の娘として過ごしてきた

ちょっと運動が苦手だけど、その分勉強を頑張っていたらしく

自然学が得意で、聖遺物や神話に関する書物を調べるのが趣味らしい

将来は、父やその後を継ぐ国王を支える宰相になるのが夢らしい

そんな文学少女だったシャルロットさんの運命が変わったのは16歳の時だった

国の中枢機関で働く為には決められた試験に合格して証である書状とブローチが必要らしい

小国のオーブ王国には中学教育までで高等学校や大学に相当する教育機関が存在しないので

文官の試験を受け合格するために、官僚入門の登竜門と言われれる同盟国クロノ神聖国の名門学園に進学した、事実教育機関が存在しない村や街から沢山の文官を目指す人が来ていた

入学してからしばらく立ち環境に慣れた時に事件は起こってしまった

ある日シャルロットさんが興味本位でクロノ神聖国の聖遺物・神樹セフィロに触れたことが始まりだった

あなたに運命を導く力を授けましょう、その力をあなたの中で育てるのです

そして、魔族を撃ち滅ぼす力となり世界のため役に立つのです

その日、シャルロットさんは聖遺物から神さまの声を聞き

聖女としての力を授かったのだった

授かってしまった

その日から周囲の目が変わっていった

今まで、平凡だと見向きもされなかったシャルロットさんが

嫉妬や憎悪の目で見られるようになっていった

何故あんな平凡な田舎娘が、我らは選ばれなかったのに、我が国の属国ごときが

と言った具合に

何故なら、クロノ神聖国の貴族の子供たちはクロノ神聖国の神様であるライアを深く信仰していて

その神さまであるライアに聖遺物を通して選ばれることが最高の名誉と言われてる国だからであえる

事実、クロノ神聖国には100人を超える聖女や聖人がいて、その強固な力ゆえ戦争をする国は一つとしてないからだそうだ

そんな冷たい厳しい視線を怯えながらなるべく目立たないように過ごして半月が立った

唯一の味方は同い年の学友でクロノ神聖国の国王の子供である第3王子の一人だけだった

またしてもシャルロットさんに不幸が襲い掛かる

聖遺物である神樹セフィロの枝が何者かによって折られてしまったのだった

疑いの目はすぐさまシャルロットさんへ向けられた

そこまではまだマシだった、シャルロットさんがやったという証拠もないのでただの噂とかですんだ

だけどある日教会にお祈りにいった時、偶然少し開いていた扉から聞いてしまった

まだ未成年だというのに、ライアを信仰する聖教会が独断で本人のいないところで裁判(異端審問)にかけ

ライアの怒りを鎮めるため、神への供物して生贄に捧げられることとなった・・・と

そんな事があったおかげで、身の危険を感じたシャルロットさんは今休学ということでオーブ王国に急いで帰っていたのだった

そして、その時に移動していた馬車は昨日の馬車だったそうで

シャルロットさんを急に襲ってきた魔族から、僕達が助けたということだった・・・

正直、可哀そうだと思う

人から冷たい態度をとられたあげく命を狙われてしまうなんて

でも、今からの問題は

僕達がどうするかだ


「だから、あなたたちに私を守って欲しいの」

「国の兵士達には悪いけど、あなた達三人は強い・・・」

「身勝手なお願いだって分かってるけど・・・」

シャルロットさんは深く頭を下げる

僕を含め、ゆきむら君もトパーズさんも長い間の沈黙

僕達は考えを深めている

まず、この依頼を受けることでのメリットとデメリット

それらを天秤にかけ・・・

僕の出す答えは・・・


「分かりました・・・シャルロットさん」

「僕はシャルロットさんの影武者令嬢になります」

僕は、シャルロットさんの身代わり令嬢になることを承諾した

「八尋!?」

「お前・・・そんな簡単に、もっとよく考えろ一日くらい時間をもらえ」

僕の答えに、ゆきむら君とトパーズさんは驚いた顔で僕を見る

まあ無理もないか

もちろん考えなしに返事をしたわけじゃない

「メリットの方が大きいと判断したまでだよ」

デメリットよりメリットの方が大きいと判断したから

「確かに下手したら僕達死んじゃうかもね・・・」

デメリットは自分が死ぬかもしれないこと、

「でも僕達三人ともお仕事がなかったら露頭に迷って餓死するかもだし・・・」

メリットは、シャルロットさんの雇われれば僕もゆきむら君とトパーズさんも行き倒れずにすむこと

「外交や情報に詳しい家だったら弟と妹を見つけやすいと思った」

そして、とまりとひまわりを見つけやすい、情報が沢山入ってきそうな貴族に出会えたこと

これは、僕にとっては逃すことの出来ないチャンスだ

「それに・・・」

でも・・・理由はそれだけじゃない

「神さまに振り回されてるシャルロットさんをどうしても助けたくなっちゃた」

そう・・・純粋にシャルロットさんを助けてあげたいと思ったからだ

神さまなんてものに翻弄される彼女に僕は気持ちを重ねてしまっていたんだ

「・・・八尋がそう言うなら俺は止めない」

「俺にも情報が入りやすい環境は望むとこだ、好きにしろ・・・」

ゆきむら君とトパーズさんも一応納得してくれたみたいだ

僕は改めて、シャルロットさんに向き合う

紫の同じ色の形の瞳が向き合う

立ち上がり右手を差し出す

「だから・・・これからよろしくねシャルロットさん」

差し出されたその右手をシャルロットさんは立ち上がり両手で包む

「ユイさん・・・分かりました、私も出来る限りあなた達をサポートするわ」

窓から光が差し込む中

二人は手を取り合う


シャルロットは自室で考え事をしていた

「年の離れた兄弟か・・・」

シャルロットは弟妹を探してる結の言葉に該当しそうな人物がいたことを思い出していた

クロノ神聖国で学園に通っていたとき、有力貴族や聖教会の幹部など特待生しか入れない教室

そこでシャルロットはユイの言っていた子に年の近い双子の男女らしきものを見た

そして、その男女はクロノ神聖国では有名人だった

なんでも聖遺物を通さなくても自由に神様の声が聞けて、圧倒的な力を持ってるとかで

その双子の言葉は神様の言葉ととして扱われるくらい

「まさかね」

確証があるわけでもないので、今はそのことはしまっておこうと思うシャルロットだった

それにしてもユイは男の子だからドレスのサイズとか合うかしら?

盛大な勘違いもしていた

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