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第二話 「初めての戦闘」

僕達三人は光に引き込まれ消えていく

光が消えていく

光の奔流の中、様々な世界の姿が見えた

紫と灰色の少女に出会う勇者

黒いツバサを持つ光の少女と出会う白いツバサの炎の少女

それらを通り過ぎ

目を開いた

そこで見た景色は


目を開くとそこは、どこかの草原だった

弱い雨が降ってる曇り空

手には傘が、腰にはネインさんから貰った刀があった

隣には、男の子が二人ゆきむら君とトパーズさんがいた

良かった・・・最初に離ればなれにならずにならなくて

「ここが異世界?」

「見ろ、下に街がある」

その草原は小高い丘になっていて

その丘から見下ろすと確かに街があった

主にレンガ造りの茶色い西洋建築の建物

真ん中にはお城があって、街の外にコンクリートで造られた城壁みたいなのが存在していた

兄が良く見てたマンガで良くでてくる中世欧州風って奴なのかな?

そういえば、僕達今日の食べる食べ物も無いし泊まるとこもこの世界の貨幣もないんだよね

そういうとこ、ちゃんと要望だしときゃ良かった

「とりあえずは、ねるとこ確保しなきゃだね」

僕達三人の方針はすぐ決まった

とりあえずは人のいる街に降りて

情報収集がてら働き口と食い物と宿を探していこう

ネインさんの言葉が嘘じゃなければ最低限言葉は通じるらしいし

うーん、弟と妹を探すならいろんな場所にいけそうな冒険者の酒場ギルドで魔物とか討伐したりするのが良いのかな・・・

そんなものがあるのかどうかすら疑問だけど

だってここは、兄がやってたゲーム世界的な異世界じゃないらしい

ステータス何とかとか言っても何もでてこないし・・・

今のところ魔法が使えそうな感覚も微塵もない

なにかコツとかいるのか?

そんなことを歩きながら考えてる時だった

だ、だれか・・・・だれか助けて!

近くで女性の悲鳴らしきものが聞こえた

正直、面倒事になるんじゃないかという気持ちもあったけど

やはり気になるし

僕達が聞こえないふりした後でその人が死んでもいても目覚めが悪い

それに今は、この世界について少しでも情報が欲しい

二人も同じ気持ちだったらしく、頷いて悲鳴の方へ向かっていく

数メートル先にあるその場所へたどり着く

僕達は近くの岩場を影にして慎重に様子を探り見る

そこには、明らかに動物じゃない・・・

異形の怪物が数匹いた

二足歩行をしている人型の子供くらいの身長

人に近い顔だけどギョロっとした目、グルルと聞こえる変な唸り声

緑色の肌をしていて、鋭い爪と牙が生えて棍棒や斧で武装している

兄のゲームで見たことある、(小鬼)ゴブリンとかいいう架空のモンスターだ

怪物が取り囲むかのように馬車が横転していた

周りには鎧を来た兵士のような人が数人倒れていた

そして馬車から出たであろうドレスを着た長い黒髪の女の子が怯えながら立っていた

「女の子が襲われてる!?助けなきゃ!」

「おい待て!どんな怪物かも・・・・」

ゆきむら君が女の子を助け出すため飛び出していく

それをトパーズさんが止めようするが行かれてしまう

正直、僕ももう少し様子を見るべきだと思うけ・・・

「・・・っ!」

だけど僕は見てしまった


あいつを

ゴブリンの群れの一歩後で佇んでいる影

あの三メートルある山羊の形をした悪魔のような怪物

忘れもしない

僕の家族を殺したあいつ

もう僕は女の子が襲われているとかどうでも良くなっていた

気づいたら走り出していた

殺してやる


「おいお前もか・・・おいおい」

「ええい、くそ!俺はお前らの保護者じゃないんだぞ!」

自分勝手に行ってしまった二人を遠目にユウはひとしきり頭を掻きむしった後

二人に続いてゴブリンの群れに突っ込んでいく

幸村が先にゴブリンの群れにたどり着く

「グルル!?」

幸村の存在に気づいたゴブリンの一体が標的を幸村に変え唸り声と共に走りながら斧を振るう

対し、幸村は倒れていた兵士の傍にあった槍を掴み

ゴブリンに向かって突き刺す

得物の長さの差で幸村の槍が先に届いた

槍を刺されたゴブリンはぎゃっという短い悲鳴の後、斧をその手から離し、地面に倒れ動かなくなってしまった

槍を扱う訓練を受けて無くとも扱えるのはネインから授けられた能力「侍・槍術」のおかげであろう

その能力は日本の戦国武将が扱った槍術を使えるというものだった

彼は戦国武将が好きななのでその能力を選んだ

仲間の一体が悲鳴を上げ絶命した事に気づいたことにゴブリンの群れは標的の対象を結達に変えて攻撃を仕掛けてくる

幸村は二体三体と冷静に刺して切って倒していくが

次第に押されていく

そこへ、横方向から矢が飛んできた

矢は幸村の隙を伺っていたゴブリンの脳天に刺さって倒れていた

その矢が飛んできた方向を見る

そこには馬に乗り弓矢を構えたユウがいた


「バイクと銃に感覚は似てるな」

ユウもそこらの倒れた兵士の馬と弓をかっぱらって使用していた

そして、そのまま馬の機動力で群れを蹴散らす様に中心を駆け抜けゴブリン達を踏みつけ蹴とばしながら弓矢の弦に矢じりを乗せ糸を軋ませ放ち二体三体と射殺していく

「ありがとう助かったぜ、ユウ!」

「呼び捨てかよ・・・年上なんだが俺は・・・」

年下に呼び捨てにされ呆れるユウ

彼もネインから授けられた能力「騎乗射手」を使用していた

その能力は馬に乗りながら弓矢を扱うという難しい技術だった

かつて世界を支配していたモンゴル帝国の騎馬兵を連想する動きができるという

そして彼は元の世界ではバイクと銃を武器にしていたのでその延長でその能力を選んでいた

一方で八尋結は山羊の化け物と対峙していた


敵わないのに馬鹿だって言われても、憎しみが勝ってしまう

山羊の化け物は僕の姿を見た

あの時と同じ鋭い視線が僕を突き刺す

足が震える、あの時敵わなかったのに今敵う分けないと体が警告する

このままじゃまた殺される・・・!

そんな時だった、声が聞こえた

テュポーンちゃん、何をしてるの?

お母さんがせっかく生贄を用意しったいうのに戻ってきなさい

何だこれ声が聞こえる、他のゴブリンや二人には聞こえていない

脳内に響く、恐らく僕と山羊の化け物だけに聞こえる声

テュポーンと呼ばれた山羊の化け物は背を向けてこの場から去ろうとする

「・・・・・・・」

僕はそれを待てとも言えず、ただ無言で立ち尽くすしかなかった

ただただ無力感に打ちひしがれていた

テュポーン・・・って兄が神話の邪神だとか言ってたような

・・・・・っ!

そんなこと考えてる場合じゃない

今まで頭に血が上っていたけど・・・

優先すべきは女の子を助けることだ!


僕は体勢を低くなるべく背丈のある草原の茂みに身を隠し音をなるべく最小限にして移動する

僕は、草原の茂みからゆっくり様子を探る

ゆきむら君とトパーズさんがゴブリン達をあらかた倒したらしい

残ってるのは二匹

普通ならもうあの二人の敵ではないだろうが・・・

「なっ!・・・あいつ女の子を人質に」

けだものでも知性まであるか・・・厄介な」

ゴブリンの内一匹は女の子の首筋にナイフを突きつけ人質をとっていた

ナイフを持ったゴブリンは攻撃できないので

残ったもう一匹の剣を持ったゴブリンが二人に攻撃を加える

技術もへったくれもない力任せの斬撃だけど、今の二人には回避するか防御するしかできない

でも・・・ゴブリンは完全に自分達が有利だと油断している

僕は草原から出て舗装された土道を

気づかれないよう足音をなるべく立てないよう忍びより・・・

人質を取ってるナイフのゴブリンの背後へ

多分雨が降っていたのが幸運だった、そのおかげで足音や気配が消せた

緊張で、汗が湧き出る、手汗で刀の持ち手が滑りそうだ

そして、ネインさんから貰った刀を両手で持ち剣道の面の要領で脳天めがけ勢い良く縦に振るう

「グェ・・!?」

ゴブリンは背中を深く切り裂かれ倒れた

「八尋か!?いつのまに?」

「気配がなかった・・・」

いきなり現れたであろ僕に二人は驚いていた

僕に気づいた剣を持ったゴブリンが焦ったのか僕に狙いを定めやけになって突っ込んでいく

僕は小手をするように剣を持ってるゴブリンの手首を切る

手首を切られた痛みでゴブリンがのたうち回る

僕は考えていた

いくら人を襲うモンスターと言えど人に近いそれをいきなり切ることが出来るのか?

でもその問題はさっきの山羊の化け物が解決してくれた

人の都合で殺されるのは可哀そうだけど

僕は、僕の世界を襲った魔物テラーに似たこいつらを許せない

人を襲い、不幸な人間を増やしていく怪物ども

それを山羊の化け物のおかげで再確認した

ゴブリンが切りかかる

体勢を低くし相手の太刀筋に合わせるように下から上え刀を振る、ゴブリンの攻撃を刀の反りを利用して弾く

隙が出来たゴブリンの胴に刀を押し付けその体二つに切り飛ばす

肉が切れた感触が刀を通して手に伝わる

ゴブリンの返り血が服や顔に飛び散ってくっつく


全滅したゴブリンの血が雨の水溜まりに溶けるなか

僕は、目の前のことに腰を抜かしへたり込んだ少女へと雨に濡れないよう傘を刺す

弟から貰ってネインさんに直して貰った傘

名前を聞く

女の子の容姿を改めて見る

「あなたの名前は?」

「・・・僕とそっくり」

シャルロットと名乗る女の子は僕と似ていた

そして、とんでもないことを言ってきた

「私はシャルロット・・・」

「これは運命だわ・・・」

「お願い!私の身代わり令嬢になって!」

雨が止んだ、雲が晴れ太陽の光が水滴をキラキラと光らせていく

雨上がりの空二人は出会った

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