第一話 「神さまなんて大嫌い」
「・・・っ!」
僕は気づくと紫陽花が咲き誇る学校の中庭のような場所に立っていた
そこには外だというのに机や椅子が雑に散らかっていた
弱い雨がぽつぽつ降っていた
「ここは?」
私はさっきまで神社の敷地内にいたはず・・・
そこで化け物に負けて私は死んで・・・
ということは此処は天国?
それにしては辛気臭い場所だな・・・
「ここは・・・」
「なんだここ?」
僕の他に僕と同じくらいの男の子が二人いた
特徴は青いジャケットの子と私と同じ学校の学生服を着てる子だ
「やぁ、神の世界へようこそ」
気づくと、私の前に一人の女性が紫陽花を眺めながら横目でこちらを見る
単色の薄紫色の傘を差した桃色の髪の女性
綺麗な人だ、花を見てる姿が似合ってる
「自己紹介がまだだったね、私はサクラ・・・ネインって言うの」
「世界の管理者よ、そうねある姉妹の神の代筆者いっそ神様そのものだと思って構わないわよ」
「ちなみにここは神が作った神様だけが入れる空間よ」
「か、神さま・・・あなたが?」
いきなり神様だとか言われても、信じられない
しかもこの空間が神様が作ったもの?
「信じられないって顔してるね、ま無理もないか」
「証拠はあるさ」
そう言うと、ネインさんは僕の心臓を指さした
「君たち生きてるだろ?それが動かぬ証拠さ」
「・・・確かに俺はあの時死んだはず」
三人は自分の心臓の鼓動を確認する
確かにそうだ、あの時に僕の心臓は止まったはずだ
それを生き返らせた?のがネインさんなら神の使いというのは本当なのかもしれない
「で、あんたが俺達を蘇らせた理由ってなんだ」
そうだ、一番知りたいのはそこだ
私達を生き返らしたとして、その目的は何なのだろう
「じゃあ説明しよう、本題はこれから」
彼女の説明が始まった
おめでとう!君たちはこれから異世界で新たな生活!剣と魔法の世界、世界を救えます!チート無双な人生をおくれます!パチパチパチパチと言い彼女は手を叩く
う~ん、そこの女の子は貴族の悪役令嬢転生の方がいいかな?
彼女は僕に指さし言い放つ
私は思ってることを口にだそうとするが・・・
「自分で世界の問題を解決しろって言うお決まりの台詞文句は無しでお願いね」
先に言われてしまう
ネインさんが言うにはその世界には私の力が干渉できない邪神がいて終止刻を引き起こそうといてるらしく、そいつを倒してってねってことらしい
「「・・・」」
目的は分かった、私達はこの神さまっていう存在が自身が干渉できない存在を倒したくて
私達に変わりに倒して貰おうって魂胆なのだろう
だけどあまりも適当すぎる説明それを聞いて、沈黙する私達
「何のために?俺達と何の関係が・・・」
「俺達じゃくても他に強い人はいるはずだ」
青ジャケットの子の質問に同意だ
僕たちじゃなくてもいい
ましてや僕はただの子供だ
そんなのが世界を救おうだなんて
「大ありさ、君たち一度死んだろ?」
「理由は簡単さ君たちは本来死ぬ予定じゃなかった、その補填よ・・・・後は世界全体の魂のバランスを保ちたいってことね」
いかにもネット小説にありがちな神さまらしい理由ででしょ?とネインさんは付け加える
私達じゃないといけない理由は分かった
手違いで死なせてしまった補填、それと魂のバランスを保つこと
兄がよく見てた最近流行りの小説に内容が似てたのですぐイメージできた
普通だった自分が生き返ったんだ、夢のような世界にいけるんだ喜ぶ人もいるだろう
でも・・・
「生き返らせてありがとうございますネインさん・・・で私には生きる理由がない」
もう僕には生きていく理由がない
家族が全員死んだ世界で自分一人が生き残ったって・・・
そんなの・・・悲しいだけだ
そんあ僕にネインさんは、まるで本に出てくる女神みたいに優しく語りかける
「ああ、大丈夫よ君の弟と妹は生きてるよその世界にいる」
「・・・・・っ!・・・本当ですか?」
私はその言葉に驚き、ネインさんへ近づく
弟と妹が生きてる
それだけでも、どんより雲だった僕の心に太陽の光が差す
「本当さ、あの時私じゃない別の誰かが転移させただけど・・・場所までは分からない」
証拠があるわけでもない、でも目の前の超常的な神の存在を見てしまえば
本当にどこかでいきてるんじゃないと思えてくる
「それだけ分かれば十分です、僕はその世界にいきます」
その世界にいこう、そう私は決意した
弟と妹が生きてる、その僅かな希望でもあるならすがりたい
「俺はもちろんいきたい、八尋が行くなら」
「俺もだ、前の世界でできなかったことがある・・・それまで死ねない」
三人の心は決まった
ネインは満足そうに頷く
「さ、神の力で一つ能力を君たちに授けよう、何がいい?早い者勝ちだよ」
「でも即死とかなんでもSランクとか神の力超えた強すぎるのは無理だから、ここから選んで」
ネインさんは空中に日本語で文字を映し出す
「じゃあ俺は「侍・槍術」にする」
「俺はそうだな・・・「騎乗射手」でいい」
男の子二人はすぐに決めた
ネインさんは二人に手のひらをかざして、二人に力を授ける
僕の番が来た
「で、君は?」
ネインさんに催促される
「・・・・・」
僕はしばらく考えた後
「僕はいらない」
能力はいらない、と答えた
「最低限、言葉が通じること普通に魔法が使えること病気にかかりにくくして」
「それと道具が欲しい」
「折れにくい軽めの日本刀、それと誕生日に貰った傘あれ直して」
「ほんとにそれでいいの?え?ていうか普通に注文多くない?」
僕は神様からの力はいらない
それは、やっぱりネインさんという・・・神さまという存在が信用できないからだ
だから、僕は自分の力で異世界を刀と知恵で乗り越えていく
周りから天才少女なんて言われてるし、それで本当に僕が天才なんだったら能力なんかなくてもやっていける
「それでいい」
僕はこう思ってる
今まで黙ってたけど、生き返らせてくれたネインさんには悪いと思う
でも言わなければ気が済まない
「僕は神さまなんて大嫌いだから・・・」
神さまという存在は人を不幸にすることしかできない存在だって
神さまなんて誰も救えないくせに
奇跡を起こせるのが神様なら不幸な人を今すぐ救って見せろ
「ああ、君のその本当の心の内は知っている」
「私もそうよ」
ネインさんはそう言うと、空間のひずみを出現させた
この空間を通るとその世界に行けるらしい
「行く前に自己紹介しないか?これも何かの縁だ」
行く前に、制服の子が自己紹介をしておこうという提案してきた
それもそうか
まだ僕としては仲間でいいのか?信頼できる人か?分からないけど
これから一緒に生きていくかもしれない人達だ
名前くらい知っていて損はないだろう
「俺は六文幸村、同じ学校の人だったんだな」
茶色い髪の目元はがぱっちりしてる学生服の人は六文幸村
同じ制服をきてることから僕と同じ世界の人だろうな
「俺はユウ・トパーズこう見えて20歳の年上だ」
石英色の髪をした青い瞳の青ジャケットの人はユウ・トパーズ
名前的に外国人?それに背は同じくらいだけど年上なんだ・・・いやもしかしたら私たちと違う世界の人かもしれない
でもとりあえずは挨拶だ
これが一番大事
「よろしくね、ゆきむら君、トパーズさん」
「僕は八尋結」
僕達三人は光に引き込まれ消えていく
光が消えていく
目を開いた
そこで見た景色は・・・
ある貴族の令嬢シャルロットは呟く
「どこかにいないかな、私に似てる人」