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エバー・シンシティ

「長谷川さん……無事……エバー・シンシティリリースできました…」


「大島〜、おつかれ〜ぃ」


エバー・シンシティは、小さなゲーム会社で作られていたゲームだった。

リリース一週間前、あまりの激務にスタッフが辞めてしまい、

部長の長谷川とインターンの大島の2名で制作されていた。


4日間徹夜続きだった2人は、リリースと同時にオフィスで倒れこむように眠ってしまったのだった。


-


へー、いまのゲームってすげえんだな。

社会人にになってから数年は、ゲームをしていた雅人だったが、15年という期間にゲームは大きな変化を遂げていた。


「最初にジョブを選ぶんだ〜。やっぱ剣士かな。名前は何がいいのかな…。実名もあれだし、ヤン・武田でいっか。」

王道の剣士・騎士・商人・錬金術師・魔法使い。ありきたりな職業が選べる中、剣士を選んだ。


名前と職業を入力すると、すぐにゲーム空間が目の前に広がっていた。

ヘッドギアから自己投影さえ、自分そっくりのアバターが剣士の姿になっていた。


「すげー、ゲームってまじで進化してんなー!」

あたりを見回すと続々と新規ユーザーがログインしていた。


「こういうのは、まず経験値溜めだよな。」


はじまりの街『ホークタウン』を出て、『ジンブの草原』へと進んでいた。

支給されていた初期装備を装備していると、草陰からゴブリンが現れた。

何度か攻撃は食らったものの、徐々に動きを身に着けた僕は程なくしてゴブリンを倒すことに成功した。


しかし、モンスターを倒しても経験値が入る気配は無かった。

「あれ、何も起こんないな」

そこから15匹ものゴブリンを倒したが、経験値が入ることは無かった。


「いや、これどうなってんだよ、いくらやってもレベル上がん無いけど」

周囲を見渡すと、自分と同じように経験値を得ているプレイヤーはいなかった。


すぐに設定から掲示板に飛ぶと、

・モンスターを倒しても経験値が稼げない

・逆にHPが減少した

・経験値が貰えることもあるが、もらえないこともあった

そんな投稿で溢れていた。


「経験値もらえたりもらえなかったりするゲームってなんだよ!!w クソゲーじゃねーか」

周囲のプレーヤーはそんなことを言っていたが、雅人には向いているゲームだった。


「15年間も正しく評価されなかったから、モンスター倒しても経験値もらえないだけで大丈夫だわ別に」

そう言って、続々と周囲のプレーヤーがログアウトしているのも知らず、一人げにモンスターを狩り続けていた。


【累計討伐数】

・ゴブリン 280

・スパイダー 120

・ミニピック 30



気が付くと雅人は、一晩で400近い戦闘を繰り返していた。

ただ、戦闘後に経験値が与えられたのは7回ほどだった。


だいたい400回やって、経験値もらえたのが7回か。

ってことは0.1~02%くらいか。いや、こんだけ戦ってレベル2ってどういうことなんだよ。


流石に疲れてきたし、そろそろログアウトするか〜。

そう思った瞬間、小さな白い影が見えた。


「なんかいた、見たことないやつ!」

その影を追うと、小さなうさぎがいた。

ちょうど木の実を食べていたうさぎを後ろからひと突きすると、白ウサギは消えていった。

そして、膨大な経験値を得て、一気にレベルは9まで上がっていた。


「エキゾチックラビットの羽毛」

戦闘後、そんなアイテムがラックしていた。効果を見ると「回避率70%UP」と書かれており、

とてもやばいアイテムを手にしてしまった。


経験値獲得確立0.1%。レアモンスターとの遭遇確立は0.4%にレアアイテムドロップって、どんだけついてんだよ俺〜!!


すぐに掲示板を確認したが、レベル2以上のユーザーや、エキゾチックラビットに遭遇したユーザー、もちろんエキゾチックラビットの羽毛を手にしたプレイヤーは誰もいなかった。


というか掲示板には、早くバグを直せ!!というコメントが溢れていた。



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