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金月花(きんげっか)  作者: リルシャ
8/9

~女神の広間へ~


 案内役のトオルを前にして、シルトとアリサは並んで歩く。大小石ころが転がり、ゴツゴツとした岩がある女神の庭を通って行く。

 「寂しいところね、シルト」

 「うん。そして、草1本もない厳しい場所だね」

 シルトはアリサに答えて、思う。女神は金月花を欲しがる者を快く思ってない。女神の3つの試練は、とても辛いものに違いない。今まで金月花を手に入れることができなかった者が、ガッカリと肩を落としてしまう気持ちが、なんとなく、わかる。最初から、拒まれている。

 「シルト、下を向いてるよ?」

 アリサが心配する。アリサからしたら、予感が的中した。10歳のシルトからしたら、灰色の岩ばかりの、とても辛い景色。月の表面もゴツゴツと寂しい世界だけど、シルトの住んでいる地下は、穏やかな世界に違いない。

 そんなアリサも11歳なのだが。

 アリサは水泳が好きで、ずっと鍛えてきた。厳しい訓練も耐えてきた。好きだから、がんばれてきた。だけど、今はーーー。

 「どうしたの、アリサ?アリサも下を向いてる」

 シルトの声で、アリサは、はっとした。自分が考えこんでる場合ではない。

 「ごめんね、シルト。考え事をしただけよ」

 アリサは顔を上げる。

 「ふたりで、顔を上げて進もうね!」

 「そうだね!」

 3つの試練のチャレンジャーらしく。

 「さて、元気が出たみたいだね!」

 少しの間、黙って歩いていたふたりを、コッソリ心配していたトオルが言う。

 「女神様の住まいへようこそ!!」

 ふたりは、洞窟の前には立っていた。

「この洞窟に女神様が住んでるのね」

 アリサもシルトも、洞窟の中を見ながら歩く。

 洞窟の中は、光る苔でいっぱいだ。明るくて、歩くのに何の心配がない。

 「どこまで歩くのかな?」

 シルトが言うと。

 「すぐに広間に入るから、心の準備をしてね!」

 トオルが深呼吸する。

 シルトとアリサは緊張してきた。

 「心の準備、必要そうだね・・・。僕たちも深呼吸をしておこうか」

 ふたり共、ゆっくりと顔を見合わせて深呼吸する。

 「じゃあ、ふたりを広間に通すから」

 トオルが歩いて行く先が揺れて、姿が見えなくなった。

 「行こう!」

 シルトがアリサに声をかけ、ふたり一緒に足を踏み込んだ。  

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