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金月花(きんげっか)  作者: リルシャ
7/9

~女神の庭~


トオルの案内で、シルトとアリサは女神への道を下って行く。

 だんだん、草のトンネルは暗くなっていく。

 「ウソ・・・。」

 アリサの目では前が見えなくなり、草のトンネルの壁に右手を付きながら歩いて行く。

 夜目の利くシルトでも、見づらい。

 「あれぇ、こんなに暗くなっちゃった。僕でも見づらいよ」

 トオルが首をかしげて、言う。

 「トオルでも見づらいのか・・・。」

 シルトがトオルに聞く。

 「なんか、僕達は、あまり歓迎されてない?」

 「うーん、それを言ったら、金月花を求める者は、みんな女神様の邪魔になるもん。歓迎するはずがないよ」

 トオルが前足を組む。

 「これは、女神様が軽く試しているんだろうな・・・。」

 「試練の1つになるの?」

 アリサが、真っ暗になって赤く光るようになったトオルの眼を見る。

 「いや、本当の試練は、もっと厳しいぞ」

 トオルは、声の位置からアリサの顔があるらしき方向へ顔を向ける。

 「あと少しがんばれば、女神様の庭かもしれない」

 シルトが力強く言う。

 「もっと、進んで行こう!」

 「そうこなくっちゃ!」

 元気よいトオルの声が聞こえた。

 シルトとトオルの声に励まされ、アリサも前へと進み出した。


 暗い暗いトンネルの中を通っているうちに、時間の感覚がなくなった頃。

 前方に、ポツンとした白い光が。

 「やったー!女神様の庭の光が見えた!」

 まだ暗い草のトンネルの中で、トオルが飛び跳ねる。

 「あの光に向かえば、いいんだね!」

 シルトも後ろ脚で、ピョンッと跳ねた。

 「よかった・・・!」

 シルトやトオルよりも目の見えなかったアリサが、安堵の声をあげる。

 みんな、足取り軽く出口へと歩いて行った。


 その庭は、草1本なかった。大小の岩がゴロゴロと転がるだけの、寂しい庭だ。

 草のトンネルから見えた光の正体は、天井にあるほのかな太陽のようだった。その太陽らしきものの光だけが、あたたかさを持っている。

 「おかしいよ!いつもの花が咲き乱れている綺麗な庭じゃないよ!!」

 トオルの言葉に、シルトとアリサは驚く。

 「そうなの?」

 アリサはトオルに、恐る恐る聞く。

 「うん。天井まで花が咲いているよ。こんな何もない庭なんて、見たことがない・・・」

 トオルの声が小さくなった。

 シルトは女神の厳しさが身に染みた。

 「行こう。女神様のところに」

 辛い試練を与える女神のもとへ。

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