~三叉路のねずみ~
「僕は、トオル。僕の声、よく通るでしょ?名前にピッタリ!!」
小さなねずみのトオルは、得意げに言う。
「はじめまして、トオル。僕は、月うさぎのシルト。幼なじみのニーナのために金月花が欲しくて、地上に降りてきたんだ」
シルトが自己紹介をする。
「はじめまして。私はアリサ。コーテの街から、シルトに頼んで無理矢理に付いてきたの」
アリサも、かがんでトオルに挨拶をする。
「ところで。ふたりとも、ラトナ山の女神様に会いに行くんだよね?」
トオルが、大きな黒い眼を光らせた。
「うん。だけど、道がわからないから、頂上に行こうと思ってるんだ」
「大丈夫。僕は三叉路のねずみ。ラトナ山の女神様の元に行こうとする者の、道案内役のねずみの中の1匹」
トオルが、胸を張った。
「僕が、君たちを案内してあげる」
トオルが笑う。
「だって、女神様は地下に住んでいるんだからね!」大きな声でトオルが言った。
「「えーーー!!」」
シルトとアリサは、声を合わせて叫んだ。
「じゃあ、僕達は逆方向に行ってたの?」
シルトがトオルに聞く。
「ううん、あってるんだよ。三叉路のねずみと合わないと、道が分からないようになっているんだ。女神様が三叉路のねずみが金月花を欲しい者を迎えに行くことを許さないと、会えないようになってるんだ」
「なら、女神様が許さない者は、三叉路のねずみにも会えないのね?」
アリサはトオルに尋ねる。
「そう、面白半分で金月花を欲しがる者もいるんだ。女神様は、何でもご存知なんだ」
しかめっ面をするトオル。
「『願いを叶える金月花』の話は、ほぼ忘れられている。だけど、細々と伝説として残っているから、全く来ない者がいないわけではないんだ。」
「確かに、女神様も三叉路のねずみも遊び半分でくる者は嫌だろう」
シルトも嫌そうな顔をする。
「真剣な気持ちで来た人には、迷惑ね」
アリサはため息をつく。
「でも、君たちは、女神様に合うことは許された。僕が君たちと歳が近いから、僕が選ばれたんだ。僕が案内するから、付いてきて!」
トオルがうれしそうに、声をあげて飛び跳ねた。