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第3話 神様の言い分



中々進まないので全カットしようと思ってたとこですが良ければ。








 はいどうも。皆さんお忘れかもしれませんが、前々回に幼馴染みに殺され幽霊(魂?)になった元、南山禎です。

 只今僕は、目の前で正座している男娘神から同じく正座させられた上、愚痴を聞かされているまっただ中です。


 「だからね、僕は地上に降ろした義体で!現地で!地球を見て回りたいの!」

 (はぁ。)

 「地球には八百万(やおよろず)の神がいるんだよ。聞いたことぐらいあるでしょ?」

 (えぇまあ。)

 「他の神達は自分の神社に参拝に来た人達のお賽銭で色々と楽しんでるんだけど!僕の神社は誰も!(バン)参拝に!(バン)来ないんだよ!!(ババン)何でか分かる!?首吊り神社だからだよ!!(バンバンバン)」

 (ほぉ。)

 「他の神さえお金払ってしてることを僕が払わずに楽しんでるとしたらどう思う!?良くは思わないでしょ!?なんだあいつはって!」

 (そうですね。)

 「そこで思いついたのが君のお金だよ!(ビシッ)」

 (アッハイ。)

 「誰も所有者がいないとは言え、君の家から勝手に持ち出すのは泥棒と変わらない。なら、君に奉納して貰おうと思ったわけさ!」


 薄々思ってたけどこの神様………もしかして馬鹿なのではないだろうか。

 そして力が入ってしまうはわかるけど、床をバンバン叩かないで欲しい。

 てか叩けたのかこの床…何もないように見えるけど。


 「誰が馬鹿だ誰が!!」

 (ほ、ほら、あんまり興奮すると折角のカワイイ顔が台無しですよ?)

 「う、うん…確かにちょっと興奮しすぎてたかもしれない。ごめんね?」


 チョロカワイイ。


 「だけど7億円もの大金をなんのお返しもなく奉納して貰うのは、神としての沽券に関わるの。そこで異世界転生権とスキル。所謂才能だね。それを与えようということなんだよ!」


 若干ドヤ顔でそんなことを言ってくるがカワイイので許せてしまう。

 顔が良いのは特だなぁ…。

 しかし神様の沽券ねぇ…そんなことよりもこちらは心の整理が全くもって付いていないのだがどうしたらいいのだろうか?

 とりあえず、


 (はい。質問いいですか。)

 「どうぞ!」

 (この世界で生き返ることは出来ないんですか?)


 何故異世界なのか。何故スキルなのか。

 確かに小説でそういう物を好んで読んでいた時期も僕にはあった。

 だがしかし、実際行きたいかと言われると即答しかねる。

 高校生や10代の若い子ならまだしも、異世界転生などアラサー間近の男が嬉々としてするものではないのだ。

 だったら生き返らせて貰って残りの人生を過ごしたい。


 「それは無理。死者を生き返らせるのはどの時代、どの世界でも禁忌とされているからね。例え魔法がある異世界だとしても認められないよ。それに君の肉体はもう腐り始めてるし。」


 うえっ。聞くんじゃなかった。


 (じゃあ、悠太の魂を…。)

 「それも無理。」

 (理由を聞いても?)

 「どんな理由であれ彼は人を殺した。しかもお互いに命を懸けた殺し合いではなく、無抵抗な相手を手に掛けた。当然の報いを受けなければならない。それが決まり。」


 やはり上手くはいかないようだ。


 (あ、この世界で生まれ直すのは?それなら僕も安心できるんですけど。)

 「それも出来なくはないけど、お勧めはしないよ。いつ、どこで、何に生まれ変わるかなんでわからないんだ。もしかしたら紛争地域に生まれて少年兵として戦い死ぬかもしれないし、人間に生まれず虫として短い命を過ごすことになるかもしれない。それならば、異世界に人間としてスキルを持って生まれれば少しはマシな生活を送れると思うよ。」


 虫か~…それだけはなー…でも異世界でまた赤ん坊からってのも…。


 「赤ん坊から始めるのが嫌なの?ならある程度成長した身体で転移のような感じで始めればいいよ。」

 (そんなふわっとした感じでいいんですか?)

 「本来はダメだけど、そうだなぁ…僕のお使いを向こうでしてくれるなら許可してあげる。」

 (お使いですか?)

 「そう、お使い。ある人物へ届け物だね。」

 (届け物…それはいいんですけど、本当に異世界行けるんですか?)

 「疑ってる?」

 (えぇ…まあ…。それこそ八百万の中の1柱の神様にそんなこと可能なのかと。)


 その世界の創造神とかそういう存在ならそういうことも可能なのだろうけど、首吊り神社の…しかもこんなカワイイ男娘神様にそんな権限があるのだろうかと疑問に思うのも仕方ないだろう。


 「それなら大丈夫!こう見えても僕、昔は向こう(異世界)にいてそれなりの立場だったんだから!(`・ω・´)」

 (…ほんとかなぁ。)

 「本当だよ!!それよりもその話しぶりからするに、転生権利とスキルを買うって事で進めていいってことだよね?」

 (あまり納得出来ていませんけどまあ。)


 言っていることは明らかに胡散臭いのだが、それ以外の選択肢が無い。

 それに折角当てた宝くじだ。

 結局使わずに死んでしまったし、それを利用して何か買うことが出来るならそれに越したことはない。


 「やったぁ!これで毎年他の神からの自慢話で嫌な思いしなくて済むよ~!ありがとねっ!!」


 余程嬉しかったのか、目尻に涙を浮かべながら僕の手をぎゅっと握ってくる。

 細っ!柔らかっ!絶対男の手じゃないよこれ!

 少し動揺していると目の前にゲームの中のようなメニュー画面が映し出される。


 「よし!じゃあ転生権を君の魂に付与して…と、その画面の中から好きなスキルを1つ選んでね。」

 (はい、わかりま……ん?1つ?)

 「うん。1つ!^^」

 「(……………。)」

 

 (…ぼったくりじゃないか!!!!)


 なんだそれ!7億だぞ!?人間1人が一生遊んで暮らせるお金でスキル1つだけなんて…とんでもない暴利だよそれ!!


 「な、なんてこと言うの!そもそも7億円は選べるスキルだけじゃなくて、記憶を保持したまま転生権の付与に言語共通化のスキル、変な物を食べて死なないようにと思って定番の鑑定スキル、それとアイテムなど仕舞えるストレージ、更には僕の加護まで付いた超お得なパックなんだよ!?普通はこんなサービスしないんだよ!?それをぼったくりなんて…。」


 む。

 確かにそう聞くと妥当なような気がしてくる。

 というか重要な所なんだからちゃんと説明しておいて欲しかった。


 (それならそうと早く言ってくれればよかったのに…すみません。勘違いでした。)

 「わ、わかってくれたならいいんだよ!…(まぁ、言語共通化なんかなくても小さい頃から過ごしてれば言葉はわかるし、今の僕の加護もちょっと成長しやすくなる程度とヘルプとしての機能しかないと思うけど…ま、そこは言わなくても良いよね)じゃ、ちゃっちゃと選んで異世界へ行こう!」




 ----------------




 と、ここまでが今までの経緯だ。

 そして頭を悩ませてるのがスキル選択なのだけれど…。


 (お、多い…とにかく多い…。一体いくつあるんだこれ。)


 軽く見ただけでも攻撃系防御系、攻撃魔法系、回復魔法系、バフデバフ系、生活系、錬金術系鍛冶系etc…。

 そこから更に派生してるぞこれ。


 「んーよく覚えてないねー。昔は勇者召還とか流行ってたし、その度ユニークスキルやオリジナルスキルも増えてたし今は神を経由する転生も殆どやらないけど、向こう(異世界)の人間による召還も稀にあるし、派生スキルが出来ることだってあるからねー。」


 その膨大なスキルの中から選べと。

 僕が魔物と戦う場面とかあるのだろうか。

 だったら攻撃系や回復系が欲しいところだけど…1つだけだしなぁ。


 「だったらオリジナルスキルにすれば?転生するまでどんなスキルになるかは分からないけど、結構強力なものが手に入ったりするよ。ほら!今流行のガチャみたいじゃない?」

 (ガチャか…ガチャは爆死が怖いんだけどなぁ。)


 SSRが出ればいいが、R程度だと目も当てられない。

 確かに夢はあるが、宝くじで得たお金で更にギャンブルに注ぎ込むみたいでうーん。


 「もー!そんなんじゃいつまでも向こう行けないよ!どれ選んでも大して変わらないんだから、ここまで来れた自分の運を信じて!はい!」

 (そうですね…もうこれ以上悪いことにはならないでしょうし…じゃあ、オリジナルスキルでお願いします。)


 普通に考えればよく選んで決めるべきなのだろうが、このままだといつまで経っても決まらなそうだし、神様にお勧めされたんだ、信じてみるのもまた一興だろう。


 「よし!じゃあ最終確認だ。君にはこれから異世界に転生してもらう。その世界の名前はフィリア。よくある魔法の世界で魔物や魔獣に加え、エルフやドワーフ等亜人達もいる。300年前に召還された勇者によって魔王は討伐されているから割と安全なところだけど、結構簡単に命が失われるから気を付けて行動してね?あ、あと届け物はストレージに入れとくから。じゃ、行ってらっしゃい!」

 (ちょっと待って!なにその話!?聞いてないことg…)




 ◇


 「…行ったね。彼の願いとはちょっと違うけど、これで最後の願いは叶えたからね。ちゃんと裁き受けるんだよ?…よし、それじゃ僕は義体引っ張り出して地球観光だ!!」






ここまで読んで下さりありがとうございます。



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