すれ違ったお姉さんが巨乳だった(おっぱい)
学校からの帰り道。いけないよなー、なんて思いつつやめられない歩きスマホ。友人たちとのチャット中の曲がり角。進路確認のため、僕はふっと目を上げたんだ。
ふるん。
巨乳のお姉さんとすれ違った。
白地のブラウスに、黒いレースのブラが透けてた。歩調に合わせて上下左右に小刻みに揺れ。
慌てて目をスマホに戻す。
過去最高にドキドキしている。
これが運命のおっぱい……!!
あの日から僕は同じ時間に同じ場所を通って帰っている。残念ながらあのお姉さんとは再会できていない。
耐えきれず、僕は運命のおっぱいを探して夜な夜なネットサーフィンしていた。このおっぱいも違う、あのおっぱいも違う、どれもこれも僕の運命とは似ても似つかない。
夢に見るほど恋い焦がれるも、現実には影すらない。
いつも通りの帰り道、いつも通りの収穫の無さに肩を落とす。交番の壁にはモノクロの指名手配犯の似顔絵。
これだ!!
僕はスキップしながら帰宅した。途中の文具屋さんでスケッチブックと色鉛筆を調達して。
僕は思い出の中の運命のおっぱいの似胸絵を描く。数々のおっぱいを凝視した経験はけっして無駄ではなかったのだ。
失敗したおっぱいで埋め尽くしたスケブは十数冊。白と黄色と黒の鉛筆を削ること数百回。
ついに再現した、惚れ惚れするほど完璧な仕上がりのおっぱい。触れないのが不思議なくらい。
あとは聞きこみだけである。意気込んだ翌日、僕はあっさりと運命のおっぱいと再会した。
運命は確実にある。
確信と歓喜に、僕は歓声をあげ、流れるように彼女に跪き、自信作の似胸絵を捧げた。
「僕の運命……!結婚してください!!」
「きゃーっ、変態!!」
バチーンッ!!
視界も胸も揺れた。
「違うんだ、待ってくれ運命の人……」
僕の頰を張った勢いのまま走り去る彼女を、似胸絵を片手に呆然と見送る。ポンと肩を叩かれて振り向けば、イケメンのお巡りさんがいた。
「そこの交番まで同行願おうか」
失恋の悲しみで涙と嗚咽が止まらない僕に、事情を知ったお巡りさんはふわふわの卵とじのカツ丼を出前でとって奢ってくれた。
「ところで、このスケッチブック貰っていい?」
「?いいですよ」
運命のおっぱいに嫌われてしまった僕には、もう無用のものだ。甘辛い玉ねぎとお肉をほかほかのご飯と一緒にもぐもぐしながら了承した。
イケメンは満面の笑みを浮かべて、いそいそと自分の鞄に仕舞った。
「ごちそうさまでした」
「まあ、他のおっぱいも良いものだ。元気出せ」
椀と同様、空っぽになった胸には、きっとこれから別のものが入るのだろう。腹に米と肉が満ちたように。
にこやかに手を振るお巡りさんに軽くお辞儀して、僕は帰途に着く。
眩しい西日に手をかざせば、前から来る人が見えるようになる。
ボン、キュッ、ボン。
僕はまた、運命のおっぱいとすれ違った。
感想がおっぱいだったら私の勝ちです( ・`д・´)✛(何の勝負だ)