** 陰影 **
出演
33歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課
特殊交渉機動隊 副隊長
26歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課
特殊交渉機動隊 隊員
24歳男性 エスクランザ天教院 王宮護衛官長
15歳男性 エスクランザ天教院 王宮護衛官
19歳女性 専門学校学生(休学中)
食料品アルバイト(休職中)
海外遠征中 黒色飛竜 雄
海外遠征中 灰色飛竜 雄
海外遠征中 灰色飛竜 雄
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〈やっぱ、うちのメズルールが一番じゃね?この流れるような首の線、凛々しい立ち姿〉
〈フンッ、〉
〈いやいやいやいや、このロディウルくんの奇麗な色艶、腿筋、磨がれた爪。うちの子は指先まで奇麗〉
〈グキュ!〉
〈・・・でもやっぱりドーライア?〉
〈ドーライアちゃんは別格でしょう。見て下さいよ。あの体格。首筋。虹彩の入った瞳〉
〈・・・・〉
〈フン!フン!〉
〈グギャ!〉
〈ああ、ごめんごめん!お前達もステキ!〉
〈うちの子が一番だよ!〉
スタスタスタスタ。
〈お疲れ様です。携帯食ですが、如何ですか?〉
〈こちらです。どうぞ〉
[ああ、ありがとう]
[助かります]
[ツル達には、何か用意しますか?]
[つる?]
[はい。巫女様に、飛竜のことをツルと呼ぶと伺いました]
〈フンッ〉
[・・・つる・・・?]
[え?俺はディスイズツルかコレワツルって聞きました]
[長くなったな。ディス・・・?何だって?]
[そうか、取りあえず〔ツル〕はつくのだな]
メモメモ。
〈グギュ、〉
[あ、あちらから巫女様が!]
〈・・・・〉
たたたたたた。
『つるりんと仲間達!こんにちは!』
[!?]
〈〈!?〉〉
[・・・・]
『わー、つるりん沢山居るねー!つるりんドローンが一台、二台、三台目は黒つるりん』
〈・・・・フー、〉
『つるりん、プスッ、ぷるりん、つるりんだよ。仲間が増えたね。プスッ。あ、呼んでる、やば、ノーコミュニケーションその一、マジギレテル・・・さよなら!』
たたたたたた・・・。
〈・・・・〉
〈・・・なんか、笑ってませんでした?あの子〉
[・・・・なんか、楽しそうでしたね]
[つるりん]
メモメモ。
この後、飛竜の間違えた呼び方が広まらないように、この場に箝口令が出された。
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出演
30歳男性 ファルド公安第十旅団医務局 局長
28歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課
特殊交渉機動隊 隊長
33歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課
特殊交渉機動隊 副隊長
26歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課
特殊交渉機動隊 隊員
23歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課
特殊交渉機動隊 隊員
19歳女性 専門学校学生(休学中)
食料品アルバイト(休職中)
13歳女性 北方天教院天上人巫女姫 付き人
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くんくん。
「ムワッ!何これ!・・・あ、あの杯は変な臭いしない」
ジーーー。
サッ。
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ボソ。
〈あいつ、少ししか減ってない、隊長の杯に注ぎたそうと狙っているぞ、〉
〈・・・・〉
ポチョリ。
ブツブツ。
〈足した・・・、何の罰遊戯だ・・・やめさせなければ、〉
〈シ、黙れ。長鼠の性質に口を出すな〉
ヒソヒソ。
〈あの、長鼠って・・・?〉
〈チ、取り上げられてしまった、〉
ヒソヒソ。
〈あの、あ、あいつ、また〉
〈・・・・〉
〈・・・・〉
オリオリ。オリオリ。
オリオリ。オリオリ。
サッ。
「黒竜ドーライア」
〈〈!!〉〉
〈・・・・〉
たたた。たた。
「それはフエルとパルーラです」
〈〈・・・・〉〉
「アピーちゃんは、姉さんのつるりん」
「わわ!ありがとう!ミギノ!鳥だね!すごいすごい!」
〈これが、パウーラか・・・〉
ゴク、ゴク、ゴク、ゴク。
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[なる程、鳥を飼われているのですか。私は飼うなら犬ですね]
〈エン?今、犬って言いました?うちは長鼠ですよね?隊長、〉
〈・・・・〉
〈・・・・〉
ヒソ。
〈おい、酒を飲ませたのか?〉
〈すいません。先ほど、水と間違えて一気に〉
ふんふん。もぐもぐ。
チラリ。くんくん。もぐもぐ。
〈ああ、丁度良い。犬ならここに。長鼠ならそこに、ムグッ!〉
ヒソ。
〈交代だ。上の奴を呼んでこい〉
〈は、〉
ビクビク。もぐもぐ。
ふんふん、もぐ・・・。
『テテって何?メガネ講師、私を指さした』
〈・・・・〉
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ズルズル。ズルズル。
〈交代って、言ったって、これじゃ飛竜に乗れねーし・・・。落とされる。絶対、落とされる〉
〈何なのだ!私は酔っていない!酒なんて、飲んでないぞ!〉
〈わかってます。わかってます〉
ズルズル。
〈昼間のアレは、何なのだ!振り向いて、私に愛想を振っていたぞ、何が欲しいんだ?菓子か?菓子が欲しいのか?〉
〈はいはい。そうですね。後で与えておきますよ〉
ズルズル。
〈先ほども、・・・この、飛竜の型折り、港では、他の男の前で、あの白い足を曝し!あろう事か!下穿きを!!〉
ズル。
〈あの、〉
〈あの長鼠め!何処まで私を試す気だ!・・・く、触りたい。ハァハァ、触りたい・・・!!〉
パ、ドサリ。
〈ヤバイ。マジで重度。俺の手には負えない〉
ピーーーー。
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〈なんだ?まだ交代には早くないか?何かあったか?〉
〈副隊長、隊長が交代だと、それが〉
ボソ。
〈・・・・・・触る〉
〈おい、それ、まさか〉
〈触る、絶対、酔ってない。私は全く酔っていないぞ〉
〈・・・・〉コクり。
〈・・・・〉コクり。
翌日、隊員一名が身に覚えの無い酒の叱責を、副隊長から受けた。
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出演
34歳男性 エスクランザ天教院内部局 侍従長
20歳男性 エスクランザ天教院内部局 侍従
沿道観客多数
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バタバタバタバタ!
[大神官様!大変です!]
[何事ですか?もう直ぐ皆様方が参られるのです。民も見ています、お静かに]
[それどころではありません!これを、何代目かの天上の神官様の、ニッポンの語録の手記で発見したのですが、こちらを!]
サッ。
[?]
パラリ。
[巫女様に、敬称と言われていた、言葉が、]
[『ちかん』とは、好色変人]
[・・・・]
[・・・・]
ワアアア!
[アリア様ーーー!お気を付けて!]
[アリアチカン様ーーー!!]
[アリアちかんーーー!]
[ちかんーーー!]
ワアアア!
[・・・・]
[・・・・]
ワアアアーーーちかんーーー。
[・・・・]
この後、港町から発信された高貴な人物に対する『ちかん』敬称は、二度と使用してはいけないという法令が宮内局から発布された。




