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ぷるりんと異世界旅行  作者: wawa
誓約の地~エスクランザ天王国
97/221

** 陰影 **


 出演

 33歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課

      特殊交渉機動隊 副隊長

 26歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課

      特殊交渉機動隊 隊員

 24歳男性 エスクランザ天教院 王宮護衛官長

 15歳男性 エスクランザ天教院 王宮護衛官

 19歳女性 専門学校学生(休学中)

      食料品アルバイト(休職中)

 海外遠征中 黒色飛竜 雄

 海外遠征中 灰色飛竜 雄

 海外遠征中 灰色飛竜 雄


*********


 〈やっぱ、うちのメズルールが一番じゃね?この流れるような首の線、凛々しい立ち姿〉

 〈フンッ、〉


 〈いやいやいやいや、このロディウルくんの奇麗な色艶、腿筋、磨がれた爪。うちの子は指先まで奇麗〉

 〈グキュ!〉


 〈・・・でもやっぱりドーライア?〉

 〈ドーライアちゃんは別格でしょう。見て下さいよ。あの体格。首筋。虹彩の入った瞳〉


 〈・・・・〉

 〈フン!フン!〉

 〈グギャ!〉


 〈ああ、ごめんごめん!お前達もステキ!〉

 〈うちの子が一番だよ!〉


 スタスタスタスタ。


 〈お疲れ様です。携帯食ですが、如何ですか?〉

 〈こちらです。どうぞ〉

 [ああ、ありがとう]

 [助かります]


 [ツル達には、何か用意しますか?]

 [つる?]

 [はい。巫女様に、飛竜のことをツルと呼ぶと伺いました]


 〈フンッ〉


 [・・・つる・・・?]


 [え?俺はディスイズツルかコレワツルって聞きました]

 [長くなったな。ディス・・・?何だって?]

 [そうか、取りあえず〔ツル〕はつくのだな]


 メモメモ。


 〈グギュ、〉


 [あ、あちらから巫女様が!]


 〈・・・・〉


 たたたたたた。


 『つるりんと仲間達!こんにちは!』


 [!?]

 〈〈!?〉〉

 [・・・・]


 『わー、つるりん沢山居るねー!つるりんドローンが一台、二台、三台目は黒つるりん』


 〈・・・・フー、〉


 『つるりん、プスッ、ぷるりん、つるりんだよ。仲間が増えたね。プスッ。あ、呼んでる、やば、ノーコミュニケーションその一、マジギレテル・・・さよなら!』


 たたたたたた・・・。


 〈・・・・〉

 〈・・・なんか、笑ってませんでした?あの子〉

 [・・・・なんか、楽しそうでしたね]

 [つるりん]


 メモメモ。




 この後、飛竜の間違えた呼び方が広まらないように、この場に箝口令が出された。




*********


 出演

 30歳男性 ファルド公安第十旅団医務局 局長

 28歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課

      特殊交渉機動隊 隊長

 33歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課

      特殊交渉機動隊 副隊長 

 26歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課

      特殊交渉機動隊 隊員

 23歳男性 ガーランド北方同盟保障条約課

      特殊交渉機動隊 隊員

 19歳女性 専門学校学生(休学中)

      食料品アルバイト(休職中)

 13歳女性 北方天教院天上人巫女姫 付き人

 


*********


 くんくん。

 「ムワッ!何これ!・・・あ、あの杯は変な臭いしない」


 ジーーー。


 サッ。



**


 ボソ。

 〈あいつ、少ししか減ってない、隊長の杯に注ぎたそうと狙っているぞ、〉

 〈・・・・〉


 ポチョリ。


 ブツブツ。

 〈足した・・・、何の罰遊戯だ・・・やめさせなければ、〉

 〈シ、黙れ。長鼠テテ性質サガに口を出すな〉

 ヒソヒソ。

 〈あの、長鼠テテって・・・?〉

 〈チ、取り上げられてしまった、〉

 ヒソヒソ。

 〈あの、あ、あいつ、また〉

 〈・・・・〉

 〈・・・・〉


 オリオリ。オリオリ。

 オリオリ。オリオリ。


 サッ。


 「黒竜ドーライア」


 〈〈!!〉〉

 〈・・・・〉


 たたた。たた。


 「それはフエルとパルーラです」


 〈〈・・・・〉〉


 「アピーちゃんは、姉さんのつるりん」

 「わわ!ありがとう!ミギノ!グランだね!すごいすごい!」


 〈これが、パウーラか・・・〉



 ゴク、ゴク、ゴク、ゴク。



**

 


 [なる程、フローを飼われているのですか。私は飼うならエンですね]


 〈エン?今、カルって言いました?うちは長鼠テテですよね?隊長、〉


 〈・・・・〉

 〈・・・・〉


 ヒソ。

 〈おい、酒を飲ませたのか?〉

 〈すいません。先ほど、水と間違えて一気に〉


 ふんふん。もぐもぐ。

 チラリ。くんくん。もぐもぐ。


 〈ああ、丁度良い。カルならここに。長鼠テテならそこに、ムグッ!〉

 ヒソ。

 〈交代だ。上の奴を呼んでこい〉

 〈は、〉

 

 ビクビク。もぐもぐ。

 ふんふん、もぐ・・・。


 『テテって何?メガネ講師、私を指さした』


 〈・・・・〉



**


 

 ズルズル。ズルズル。

 〈交代って、言ったって、これじゃ飛竜に乗れねーし・・・。落とされる。絶対、落とされる〉

 〈何なのだ!私は酔っていない!酒なんて、飲んでないぞ!〉

 〈わかってます。わかってます〉

 ズルズル。

 〈昼間のアレは、何なのだ!振り向いて、私に愛想を振っていたぞ、何が欲しいんだ?菓子か?菓子が欲しいのか?〉

 〈はいはい。そうですね。後で与えておきますよ〉

 ズルズル。

 〈先ほども、・・・この、飛竜の型折り、港では、他の男の前で、あの白い足を曝し!あろう事か!下穿きを!!〉

 ズル。

 〈あの、〉

 〈あの長鼠テテめ!何処まで私を試す気だ!・・・く、触りたい。ハァハァ、触りたい・・・!!〉

 パ、ドサリ。


 〈ヤバイ。マジで重度。俺の手には負えない〉


 ピーーーー。



**



 〈なんだ?まだ交代には早くないか?何かあったか?〉

 〈副隊長、隊長が交代だと、それが〉


 ボソ。

 〈・・・・・・触る〉


 〈おい、それ、まさか〉


 〈触る、絶対、酔ってない。私は全く酔っていないぞ〉


 〈・・・・〉コクり。

 〈・・・・〉コクり。


 


 翌日、隊員一名が身に覚えの無い酒の叱責を、副隊長から受けた。




*********

 

 出演

 34歳男性 エスクランザ天教院内部局 侍従長

 20歳男性 エスクランザ天教院内部局 侍従

 沿道観客多数


*********


 バタバタバタバタ!

 [大神官様!大変です!]

 [何事ですか?もう直ぐ皆様方が参られるのです。民も見ています、お静かに]

 [それどころではありません!これを、何代目かの天上の神官様の、ニッポンの語録の手記で発見したのですが、こちらを!]


 サッ。

 [?]

 パラリ。


 [巫女様に、敬称と言われていた、言葉が、]

 [『ちかん』とは、好色メロ変人クレイシー


 [・・・・]

 [・・・・]


 ワアアア!


 [アリア様ーーー!お気を付けて!]

 [アリアチカン様ーーー!!]

 [アリアちかんーーー!]

 [ちかんーーー!]


 ワアアア!


 [・・・・]

 [・・・・]


 ワアアアーーーちかんーーー。


 [・・・・]




 この後、港町から発信された高貴な人物に対する『ちかん』敬称は、二度と使用してはいけないという法令が宮内局から発布された。




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