** 依頼 **
出演
27歳男性 ガーランド入国管理局 局長
65歳男性 ガーランド王政府 国防大臣
24歳男性 ガーランド王政府警備隊 隊長
29歳(自称)男性 液化球体化合物 青色
19歳女性 専門学校学生 食料品アルバイト
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「申し訳ない。私には刻があまり、」
「そこには、貴男がこの国で、最も会いたいと思う人物が来るだろう」
(・・・?)
「貴男が思うよりも、後ろで待機している男はこの国では名が知れている。その婚約者となれば、〔彼〕に挨拶しなければ年が無事に始まらないのだ」
〈・・・・〉
(ガーランド王か、)
コクリ。
(私が今、会いたいと思う人はただ一人)
コクリ、うん、うんうん。
うんうん「・・・んん?あ、ゴホンッ!」
(やめてくれ、今、この場に、メイほど不必要なものはない!)
うんうん。
(まさかこの国に居たりして。まさか?まさかだけど、会いたい・・・。心に秘めるだけでは駄目なのだ。人探しの情報は、周囲に開示しないと駄目なのだ!)
うんうん!
〈〈〈・・・・〉〉〉ジーーーー。
〈・・・・どうしたのだ?〉
〈・・・・〉
『見栄張ーるさん・・・』
〈?、〉
〈無礼な、上将の名を呼び間違えるとは〉
サッ、〈よい。構わない〉
(・・・・・・・・メイか、)
「私は、会いたいです」
〈そうだろう〉コクリ、ニコリ。
『鈴木医師。』
〈・・・スズキイシ?〉
「会いたい。欲しい、スズキイシ。欲しい一番」
シーーーーーン。〈〈〈・・・・〉〉〉
〈・・・・・・・・〉ジーーー。
〈まさか人の名前か?、オルディオール殿?スズキイシとは、なんの事だ?〉
「求める。欲しい。欲する。欲望。私は会いますスズキイシに」、
『発音正しいですか?パスタ食べたかったのに、間違えてペンネ注文して、つるりとした麺気分がモグモグに変わった悲しい感じになっていませんか?』
〈〈〈・・・・〉〉〉ジーーーー。
「会いたいです。一番」
ハッ!〈・・・そうかオゥストロ、オルディオール殿ではなく、この方が巫女殿なのか?〉
〈・・・はい。彼女は気紛れに、不思議な事を言って周囲を楽しませるのです。これもその一つ。長く異国語を話しますが、理由などありません〉
〈気紛れ?・・・この顔は、必死に何かを訴えてはいないか?〉
〈気紛れです。紹介致します。精霊憑きの巫女、我が婚約者となったメイ・カミナです〉
「会いたい、欲しい、スズキイシ」
ミブリ、テブリ。
〈・・・・・・・・・・・・、〉
「私はスズキ「メイ、上将にご挨拶しなさい」
くるり?(言葉を遮られた、無礼な巨、)
ーービクッ!
・・・ギラリ、ジロリ。
「挨拶を、エミハール殿に」
ヒヤリ『・・・・』ゴクリ。
「かみ、・・・メイ・カミナです。こんにちは」
「精霊憑きの巫女殿、本当に今はオルディオール殿ではないのだな?なるほど。顔つきも違うような」
〈・・・・〉ジーーーー。
(・・・・一緒にしないでくれ)
『あの、鈴木さんの話は伝わっ「よく出来たな」
ーーがしっ!『!!?』
〈〈!!、〉〉
(え、?、巨人、私の頭を掴んだ?)
〈・・・・〉ジーーーー。
〈・・・オゥストロ、女性の頭を掴むとは、あまり品が良いとは言えないぞ〉
〈はい。ですがこれは婚約者なので、問題ありません〉
〈〈???、〉〉ジーーーー。
(巨人、・・・重っ。)ぶるぶる、ぶるぶる。
〈・・・・〉
〈・・・そうか、・・・・では、王都で会おう。エスデミア、戻るぞ〉
〈了解〉
〈お気を付けて。これよりラハイヤ山頂付近は荒れ、突風が吹きます〉
〈わかった〉
スタスタ、ギィ。
〈飛竜の準備を・・・〉
ーーサワサワ、サワサワ。
(・・・・?)
ーーサワサワ、サワサワ。
『え?、面談終わり?、あ、あの、さっきの話って、冗談抜きで鈴木さんの事を聞きたいんですが、』
ノビッ、ノビッ、ぴょん、すたっ!
ッ、ガシリ!!!
〈ご挨拶を〉、
「メイ、エミハール殿に、お別れの、挨拶を」
『・・・・』、
(巨人、またつかんだ・・・。握力強、別れの挨拶を失敗すれば、私の頭は砂浜でもてあそばれたスイカのように、ヤダヤダ!)
〈・・・・〉
コンコン!ガチャ。
〈上将、準備が整いました〉
「メイ、挨拶を。」
「・・・さ、さみしぃなぁー、さみしぃなぁー」
ーー〈〈〈!?〉〉〉
「一人にしないーーゴホンッ!ウェホンッ!
ゴホンッゴホンッゴホンッ!・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・裸、」
ーー〈〈〈・・・???〉〉〉
ボソリ、「裸踊り、するからな。」
(!??、ヤメテェーヤメテェー!!!)
〈〈〈・・・・〉〉〉
(ユルシテェー!!!)
神妙に頷く少女の口からこぼれた異国の言葉、それに続く意味深な別れの言葉を来客は訝しむ。ちなみに、多感な年頃の少女による自虐的意味深な主張だが、第三国境施設管理責任者の厳しい叱責により実行される事は無かった。
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出演
65歳男性 ガーランド王政府 国防大臣
24歳男性 ガーランド王政府警備隊 隊長
ガーランド王都在住 灰色飛竜 雌
ガーランド王都在住 灰色飛竜 雄
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ーーバサッバサッ、バサッバサッ。
ーービュウゥゥウウゥゥ!
〈忠告通り、王都最短に風雲が出ています。少し回りますが、北方を通ります〉
〈任せる・・・・そう言えば、お前はオゥストロよりも少し若いのか?〉
〈はい。彼より三年ほど〉
〈お前は婚姻はしていないな。婚約者はいるのか?〉
〈はい。故郷に〉
バサッバサッバサッバサッ。
〈・・・・・・・・最近の、若者の婚約とは、あれが主流なのか?〉
〈・・・婚約の主流ですか?〉
〈・・・・女性に対する扱いが、私の代とはずいぶんと変わったものだ。あの様に、頭を掴んで愛情表現とするとはな。刻の流れとは乗り遅れると、理解する事が難しい〉
〈女性に対する?、・・・頭を、〉ーーハッ!
〈いや、精霊憑きの巫女とは特殊な感性をもっているのだろうが、なんというか、ああいった事を女性が発言する事も、今の若者の間では普通なのだろうな、はは、〉
〈・・・誤解です。上将、頭を握り掴むこと、は・・・・裸踊りなどは、我々の世代でも常識の範疇外です〉
〈そうなのか?、エスデミア、ここは空の上、畏まらなくてよいのだぞ。若者の刻の流れを学ぶ事も、私には貴重なのだ〉
〈上将、真実に、アレは現在の常識ではありません。子供に見えるとはいえ、女性の頭を片手で握ることは愛情表現ではありません。私は、自分の婚約者に、そんなことを、したことなどはありません〉
バサッバサッバサッバサッ・・・。
〈・・・ならば先ほどのあれは、〉
〈おそらく、第三の砦隊長の趣向かと〉
〈・・・・・・・・・・・・・そうか〉
ーーービュウッ!!!〈突風!?、〉
ーーーバサバサッ、バサバサッ!
〈はっ、しまった!ラハイヤが見える!申し訳ありません!風を読み間違えました!、アーカー!、左に上昇!〉
〈ギャーギャ!〉
バサバサッ、バサバサッ!
〈はははは、よいよい。・・・そうかエスデミア、それ程までにお前が動揺するのも珍しいな。クラーナ、上昇だ〉
〈ギャ!〉
バサバサッ、バサバサッ、バサバサッ・・・。
国家秘密諜報機関〔鳥〕からの情報によると、第三の入国管理局では局長室にて部外者立ち入り禁止の秘密の会合が夜な夜な開かれている。会合出席者が小さな少女一人だけだという報告を聞いた大臣と警護主任は、第三国境施設管理責任者に様々な懸念を抱き始めている。




