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ぷるりんと異世界旅行  作者: wawa
天を制する者~ガーランド竜王国
57/221

姉弟の受難 **

 

 出演

 35歳男性 ガーランド入国管理局 入国者認定室長

 25歳男性 ガーランド入国管理局 入国管理情報室長

 28歳女性 ガーランド入国管理局 局長補佐官

 19歳女性 専門学校学生 食料品アルバイト


*********



 「ーーでは、次に出身国と住んでいた場所はどこか、」


 『・・・・』


 「ん?どうした?」


 『キャンニュースピーク・ニングリッシュ?』


 〈・・・・なんだ?〉

 「・・・、それは何処の国の言葉かな? 今のが出身国か?」


 『おかしいな。ここでも魔法の万国共通言語が威力を発揮していない。発音か? ネイティブ意識しすぎた?あ、えーと、なんだっけ、』、

 「ごめんなさい。ごめんなさい」


 〈〈・・・・〉〉


 「出身国は?」

 『あれ、なんだったっけ、目上の人に媚びを売る、チャラ媚びポーズ・・・、たしか伝説の芸人みたいに下顎を出して手を、ヤバイ。おじさん睨んでる。マジ怖い。メガネ、絶対零度アブソリュート・ゼロ、ヤバイ』


 ビシッ!


 「ヤメテェ、ヤメティ。やぁーだよぅ、」


 〈おい、なんなんだ、今のはまさか、ファルド軍の敬礼か?〉

 〈止めさせろ!〉

 ガタッ。ガタッ、ガタタッ・・・。

 「ごめんなさい、ヤメテェ、ヤメテェ」

 「分かった。何もしていないだろう、座りなさい。それを止めろ。止めなさい」


 『・・・・』


 カタン。


 〈〈・・・・〉〉


 「出身国は?」


 『ニホン。大使館、それとも領事館、知ってますか?』


 「長いな。国名はニホンタイシカン?」

 『ニホン』


 「では地名がタイシカン・ソレトモリョウジカン」


 『・・・・やっぱり駄目か。そもそも大使館や領事館の、万国共通言語が分かりません』


 こくり。


 「次に、入国目的についてだが、・・・分かるか? ここに、来た理由は?」


 『・・・』


 「入国エス・プリッソ目的アルス・モカ


 『コーヒーについての質問ですか?』


 〈・・・・〉

 〈なんだ、いまの、〉

 『甲乙付けがたいですが、私は甘味氷愛好家。そしてコーヒーは無糖派です』


 〈〈・・・・〉〉


 『コーヒー・プリーズ・ミー・・・やばい。思い出した。本当にコーヒー飲みたい。涙でる』


 〈・・・何語だ? おい、お前、南方ゴウド北方セウスの辺境語に詳しかったな? 東側の辺境語か?〉

 〈さっぱり分からんな、発音も言語も聞いた事は無い。・・・が、・・・この、たまに出るとんでもなく下品な言葉を、子供とはいえ、女性から聞くとは思わなかったぞ〉


 〈・・・確かに。正気とは思えない。見た目が北方セウスの王族に見えるだけに、ある意味衝撃だな・・・〉


 『コーヒー、カフェオレ、何処かに売ってませんか?』


 〈・・・・〉


 〈泣きたい気分とは、このことか。おい。止めてくれ〉


 〈お嬢さん、同じくらいの年頃でしたよね。そちらは大丈夫ですか?〉


 〈・・・・無い。うちの子は、大丈夫だ〉


 〈若い連中は、とんでもない言葉を流行らせたりしますからね。私の世代にもありましたが、・・・今はこういうものが流行っているのでは?〉


 〈やめろ。尋問しごと中だ。お前のその話し方もやめろ〉


 「お願い、ヤメテェ」、

 『コーヒー・プリーズ。ギブミー・カフェイン下さい。匂いだけでもカフェイン・プリーズ・ギブミー』


 〈・・・・、〉


 〈・・・今度は何の卑猥な歴史について語る気だ・・・〉


 〈・・・続けるか? これ以上、有益な何かを引き出せるとは思えない。故意に少女にこれを語らせようとしている者が居るのならば、そいつの性的趣向を掘り下げるだけだ。我々は翻弄されたことになる。相手の思う壷だ〉


 〈東の指揮官のことか、・・・正気とは思えんが、ただの冗談だと思いたい。だが、・・・そういえば、諜報ハインも懸念を示していたな。何をふざけているのかと思ったが、これの事だったのか?〉

 〈報告書に上げるほどだぞ。見ていて分かる内容だったということだ〉


 『・・・・』


 〈情報を引き出すのは、正しい言語習得をさせなければ、いろいろ先に進まない〉

 〈了解ダーラ


 (ダーラ、よく聞くワード。おそらく話しを区切る時に使用する。ダーラ。ダーラ。覚えた)


 「・・・とりあえず今日はいい。終わりにしよう」


 ガタ。


 「出ていいぞ。終わりだ。さようなら、分かるか?」


 『・・・・ダーラ・・・』


 〈〈!?〉〉


 ヘラリ。にこにこ。もじもじ。


 ガタ。


 タタタ、くるり。


 「さみしいなあ、さみしいなぁー、もう少し、そばに居てぇー」


 〈〈!!〉〉


 ビシッ!


 「食・べ・ちゃ・う・・・?」、

 『これ、あってんのかな、イントネーション間違えた? 不安です』


 てれてれ、もじもじ、ぺこり。


 〈・・・・・・・・。〉

 〈・・・・〉


 スタスタ、ガチャ。


 〈アラフィア、居るか?〉


 〈終わりましたか?〉


 〈〈・・・・〉〉

 『・・・・』



 パタン。



 〈・・・・ヴァルヴォアール・・・〉

 〈・・・お嬢さん、大丈夫ですかね〉


 〈言うな。〉



 この後、ガーランド第三の砦広報局から近隣住民の幼い子供の居る家庭に、正しい言葉の使い方パンフレットが発布された。

 


 

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