ある魂の命運 **
出演
トライド下町在住 黒猫 雌
トライド下町在住 猫、数匹
29歳(自称)男性 液化球体化合物 青色
19歳女性 専門学校学生 食料品アルバイト
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ーーある猫の視点。
「にゃん?」
黒猫は見つけた。
道に気になるものを。
青い丸い柔らかそう。
それは陽の光で、きらきらと輝いている。
道を滑るように進む奇妙なそれ。
黒猫はこっそり後をつけた。
あの青い丸に、見つからないように、気配をおさえる。
屋根に登り、物影に潜む。窓から家の中をのぞき込む。
それは黒猫と同じ行動・・・。
・・・・気になる・・・。
黒猫の顔見知りのもの達も、青い丸が気になり様子を見始めた。
皆でそれを見守る。
たまに空を舞う鳥に襲われている丸い玉。
猫たちは鳥と戦って青い丸を守る。
街角で出会っても、知らないふりをして後をつける。
楽しい・・・。
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ある日それは窓の下に落ちていた。
地面に落ちて、動かない。
手でつついてみても、反応は無い。
砂にまみれ、しぼんだ青い丸を黒猫は見ていた。
猫たちは集まり、それを囲み見守る。
不意にその輪が飛び散るように消えた。
黒猫だけが残された。
足下に落ちているものは、動かない黒猫の宝物。
『黒猫だ・・・、横切らないで、横切らないで』
猫は見た。
黒髪の少女の肩には、黒猫の宝物が乗っている。
青い丸は、黒猫を見つけると動きを止めた。
街角で遭遇したように見つめ合う。
「にゃん?」
ぶるり。
青い丸の中には金色がきらきらと輝いている。
「ナーン!」
黒猫は宝物を追った。




