過去の残像 **
出演
29歳女性 ガーランド入国管理局
東トライド対策室 室長
23歳男性 ガーランド入国管理局
特別調査官補佐
ガーランド在住 灰色飛竜 雄
物資輸送作業員 十数名。
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ほのぼの、ほのぼの。
〈飯は食えてるか?、なんか、痩せたな?大丈夫か?〉
〈ギュグギュグ、ぐるるる〉
ほのぼの、ほのぼの。
〈ウォラ!〉
バシッ!!〈痛っ!!〉
〈遊んでんじゃねえぞ!とっととお前も、物資運び手伝えよ!〉
ビクッ!!
サワサワ、チラチラ。
〈アラフィア、久しぶりにフエルと会えたんだ、ちょっとくらい喜ばせてくれよ!〉
〈ぐぎゅ、〉
うんうん、こくこく。
〈っせえよ!!やるべき事を、やってからじゃれ合え!目障りだ!!〉ビシッ!
ビクリッ!ヒソヒソ、サワサワ。
〈グギャ!〉
〈お前、一度別れた飛竜との再契約が、すげえ難しいの知ってんだろ?、日頃の交流とか性格とか、仲良くたって、なかなか同じ飛竜と相棒に・・・あ、!〉
はっ!
サワサワ、ヒソヒソ。
〈・・・そういえば、そっちは、その、アラフィアんとこは、相棒、どうだったんだ?〉
スタスタスタ、くるり?
〈ん?、相棒?〉
〈・・・、そっちは、その、大丈夫だったのか?もしかしてスロート、もう新しい相棒が居たとか・・・?〉
〈ハァ?スロート?、んなもん、帰ったぞって言ったらすぐに飛んできたぞ。野郎共、なんか飛竜に幻想見てねえ?胸筋だの羽彩だのぐちゃぐちゃ評価しやがって。飛竜はお前らの物じゃねえっての、〉
ドキリ、ザワリ。
〈ウォラ、うちのスロートは、もう三往復トライド飛んでんだよ。お前、いつまでもフエルとベタベタめそめそと、ちょっと離れてた間の隙間を埋めようとしてんじゃねえよ。思春期の付き合いたての恋人か?みっともねえし、気持ち悪いぞ!〉
〈そこまで言われる筋合いは無え!!〉
〈ギャ!〉
〈おい。言っとくがな、これは、お前と身内の姉だから言ってんだぞ。他人はお前が飛竜と気持ち悪いことしてても、一切無視だからな。影でお前が飛竜とデキてるって、ヒソヒソ笑われるだけだからな。周り見て見ろ。奴ら皆、腹の中で笑ってるぞ〉
〈・・・・、え?〉きょろり。
ザワリ!ブンブン!
サワサワ、ボソボソ、ブンブン。
〈ギュグギュグ、ギャギャ!〉
〈っ、誰もそこまで思わねえし!皆、再契約を奇跡だって喜んでくれてるし!〉
コクコク、うんうん!サワサワ。
〈夢見てんなよ。周りは社交的に、温かい目で見てるフリだから。さ、早く、トライドに物資、運んでくれ。そこにあるやつ、今日中に運べよ〉
ドサリ、もりもり。
ザワリ!サワサワ、ヒソヒソ。
〈ギャギャギャ、〉
〈・・・・いいよいいよ。ほっとこうぜ、アラフィアは飛竜愛が足りなさすぎだ。スロートが可哀想だよな〉
〈グギャ、〉
くるり!
〈おい!!さっさと動けよ!お前ら!、特定の女も雌もいない者同士!、適当に異種間同性で、寂しさ紛らわしてんじゃねえぞ!!、哀れだぞ!!!〉
ザワリ!?ドキリッ!!
チラチラ、ジロジロ、ボソボソ。
〈・・・・お、オメエ、さっきから声がデカすぎなんだよ!、色々誤解を生む言い方を、すんじゃねえ!!〉
〈グギャギャギャ!〉
チラチラ、ヒソヒソ、ザワザワ。
〈・・・・、〉
〈ギュルルル?ギュルルル?〉
〈あ、フエルは何も悪くない。あの女、アラフィアに言っただけだから、な、大丈夫、大丈夫〉
ヒソヒソ、ヒソヒソ、ブンブン・・・。
とある飛竜愛の強い職場では、彼氏彼女の居ない人々の間に、その寂しさを職場仲間の飛竜で紛らわせていると公言された者がいる。その後、同じ状況下にある者達は開き直って飛竜愛を主張する者と、自分はそうではないと嘘をつく者に分かれた派閥が出来上がった。
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出演
36歳男性 ガーランド入国管理局 局長補佐官
26歳男性 ガーランド入国管理局入国者認定室長
東方同盟保障条約課
特殊機動隊 分隊長 兼務
居酒屋来客、数十名。
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ザワザワ、ガヤガヤ。
〈副隊長と飲みに行くのは久しぶりですね〉
〈そうだな。お前もオーラ戦に向けて忙しくなるな。今日は無礼講だ。大いに飲めよ。積もる話もあるだろう、念のため、周囲の人払いは初めからしてあるからな〉
〈お気遣い、感謝いたします〉
*
ザワザワ、ザワザワ。
グイグイグイグイ、タンッ!
〈・・・で、何度も言いますが、ファルドの真の敵は、私の黒長鼠に、おかしな言葉を覚えさせたヴァルヴォアールではなかったのです・・・。グルディ・オーサ基地に居る、あの陰気臭い男、奴は私の黒長鼠を狙っているのです!、この目で餌付けしているところを確認したのです!〉
〈お前が私の配慮を裏切らず、おかしな話の方向へ向かっていることを、喜ぶべきか呆れるべきかは置いておいて、とりあえず、その黒長鼠は、お前のものではない、〉
〈・・・・・私、黒長鼠が言った言葉が、頭から離れないのです!〉ばんっ!ばんっ!ガチャリッ!
〈分かった、少し落ち着け、卓を叩くな、麦酒が零れる〉
ガヤガヤ、ザワザワ?、ヒソヒソ。
〈あの小さな口で生意気にも、貴族で上士の私に「センディオラさん食べなさい」と言ったのです!、コレはどういう事ですか!?・・・・思い出すとゾクゾクしてしまい、私は女性から命じられて反応する癖があったのかと、高圧的な同僚で試してみたのですが同僚では何ともないのです。やはり高圧的な同僚には、より高圧的に制圧してやることの方が私の好みであるようです〉
〈好み?反応?、高圧的に制圧!?、あ、いや待て。今のは質問ではない。具体的に現状報告は不要、〉アセリ!
〈・・・・はい。それをこの場で具体的に語ることは、さすがに私も控えたいと思います。それを具体的に語ることは、行為に及ぶ直前で相手に伝え、窮地に追いやらなければ面白くはありません〉
〈・・・・・・・・そうか、〉
・・・コクリ。
〈それは、お前の好きにすればいい。それと、もう少し落ち着いて話しをしよう。席を離してはいるが、ここは大衆の酒場なのだ〉
コクリ。〈私は落ち着いています。なので続けます。あの黒長鼠に命令されると、もう駄目なのです、いや、黒長鼠に、命令さたい体質になってしまったのです!!〉
ゾクゾクゾクゾク!
ゾワリ、コクリ。〈落ち着け〉
ゾクリ、コクリ。〈了解、〉
〈〈・・・・〉〉
コクコク、コトリ。
〈そういえば副隊長、隊長からの例の件、どうなりましたか?〉
ドキリ。〈それは、例の件の事か?〉
コクリ。〈はい。黒長鼠の名付け親に任命されたと伺いました〉
コクコク、コトリ。
ハァ・・・。
〈エラ〉
〈エラ?、それはまた、ずいぶんと副隊長らしからぬ、愛らしい発想ですね?、確か南方で崇高な意味の恋愛、あり得ない異種間の結実の事では?、巷では、婦女子や子供が好みのものをそう呼ぶ事があるとか〉
〈・・・・・・・・、実はな、先日、妻が黒長鼠を我が家に連れて来たのだ〉
ガタリ、〈黒長鼠を?それは、まさか私の黒長鼠、・・・なわけないですよね。アレは今、ファルドに旅行中ですからね〉
〈だから、あの黒長鼠は、お前のものではない。ではなく、本物の黒長鼠の子供なのだ〉
〈なるほど、最近、長鼠を飼う家が多いですからね。見た目にも愛らしいですが、有事には食糧にも防寒にもなるところが無駄がなくよいと思います〉
〈・・・お前の長鼠への考え方は、俺には理解できないが、まあ、そう、飼ったのだが、その黒長鼠に妻が付けた名なのだ〉
〈エラ、〉
〈俺の人生において、隊長から与えられた難題ではあるが、これに全てを託そうと思う〉
こくり、〈エラ、良いと思います〉
こくり。〈お前に賛同されることに不安はあるが、私には、もうあの黒長鼠への呼称が、エラしか思い浮かばない〉
〈そうだ、今、とんでもない事実に気付きました。黒長鼠が、隊長と一緒になればアレは隊長の伴侶なのです〉
〈そうだが、なんだ?今更、まさか邪魔をするなどとは、私が許さな〈隊長と同じように、私に命令する立場になるのです!〉
〈・・・・・、ならないが、まあ、されたいのなら、黒長鼠に頼んでみればいいかもな、〉
〈副隊長、間違えてはなりません。アレは黒長鼠ではなくこれからはエラなのです。飲みましょう。私の将来の安泰と、エラを隊長が承認してくれることを願って〉
〈・・・・そうだな。飲もう。もうこの件が、先延ばしにならない事を願って〉
サワサワ、ガヤガヤ・・・。
後日、予てより提出期限が延長になっていた、上司の婚約者に対する呼称を託されていた部下は、考え抜いた末の案を書類に記して提出した。その後、その案を快く採用した上司だが、他国から在駐している皇族にそれを披露した場が荒れる事になる。




