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ぷるりんと異世界旅行  作者: wawa
双頭の王~ファルド帝国
137/221

ある魂の自覚 **


 出演

 28歳男性 ガーランド入局管理局 局長

 33歳男性 ガーランド入国管理局 審査管理官

 26歳男性 ガーランド入国管理局入国者認定室長

 31歳男性 ガーランド入国管理局 二課係長

 28歳男性 ガーランド入国管理局 二課職員

 以下、事務職員数名。


*********


 ザワザワ。ザワザワ。


 〈やっぱ魔石に転写してもらって良かったな〉


 〈見ろよこの腕筋、足筋、腰筋、ケツ筋。ハンパネー〉

 〈なのにシッポ付き〉

 〈このシッポも強そうだよな、〉


 ザワザワ。ガヤガヤ。


 〈この鷹豹トーライドの胸筋もいいよな。なんであんなに細いんだろ。あのデカイ羽、これで支えてんだぞ?ここに鳥族の謎が全て詰まってる。好い!〉

 〈この前、エスフォロスの・・・あ、えーと、飛竜とお話ししてたぞ〉

 〈マジで?貴重ー!!!〉

 〈見てえ!転写神官呼んで!〉

 〈もう無理だし、遅いし〉


 ガヤガヤ。


 〈やっぱ大獅子セブン。〉

 〈いやいや、鷹豹トーライドでしょう!〉

 〈おい、うちのたちも、置いてけぼりにすんなよ〉


 〈飛竜は飛竜〉

 〈あれは別種目〉


 ザワザワ。ザワザワ。


 スタスタスタスタ。

 〈あ!隊長!〉

 ザワザワ。ザワザワ。


 〈隊長の分もありますよ!大獅子セブン鷹豹トーライド、どっちがいいですか?〉


 〈・・・・〉


 指し、指し。


 ビシッ!〈了解です!両方、後で届けますね!〉


 〈あ、そうだ、隊長、〉 

 ヒソッ。ボソ。サッ。ちらり。

 〈これ、非売品なんですけど、〉


 〈・・・・・・・・〉


 のぞきっ。

 〈グッはっ・・・!!!〉


 〈それ、黒長鼠カラテテの腹出し転写、〉


 〈尋問官殿!驚かさないで下さい!〉


 〈なんだこれ、どこでこれを、〉


 〈いや、あの子、いや、隊長の婚約者殿、わりと陽の当たるところで寝転がってたじゃないですか。見回りん時に、見張り台で寝てたんで、つい、〉


 〈・・・・〉


 〈飼おう、間違えた。買おう。俺にもくれ。いいですよね?隊長、見るだけなら〉


 〈・・・・〉


 ガヤガヤ、ザワザワ。

 

 〈・・・・隊長の分も、用意しても?〉


 〈・・・・ハァ、〉こくり。


 〈デスよね!〉

 〈当たり前じゃないか!コレは隊長のものなんだ、むしろ大獅子セブン鷹豹トーライドなんて、どうでも良いから。先にコレだろう?ですよね!班長!〉 

 〈ああ、もちろんだ〉

 〈ですよね!隊長!〉


 〈・・・・フゥ、〉


 スタスタスタスタスタスタ。 


 ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ。


 


 ガーランド入国管理局では、突然訪れた南方共和国の有名人により、彼等の写真魔石の売買が流行っている。希望者は公報課により販売され、滅多に訪れる事のない彼等はとても人気があるのだが、中でも銀髪の少女が一番人気だという。


 一部非売品の天上の巫女サマ写真は、マニアによって裏取り引きでのみ販売されるそうだ。



*********




 23歳男性 南方共和国真存在地集落

      大獅子村 副村長(他国視察中)

 18歳男性 南方共和国真存在空集落 鷹豹村

      青年部会エリアリーダー

      (他国研修中) 

 29歳(自称)男性 液化球体化合物 青色    

 トライド下町在住 黒猫 雌

 トライド下町在住 猫、数匹

 トライド住民多数


*********


 ーーーある猫たちの視点。


 

 ひゅーーーー、ボトッ。ビシャ!


 キャーーーー!


 ワーワー、ワーワー。


 (・・・・)



 仲間の黒猫が久しぶりに帰って来た。


 彼女は宝物を頭に乗せて、誇らしげに街を歩き回る。


 それを猫たちは羨望の眼差しで見ていた。


 だがしかし、その日、猫たちの穏やかな生活を脅かす存在も、街に入って来たのだった。


 

 ひゅーーーー、ボトッグシャ!


 キャーーーー!


 「オルディオールだわ!」

 「オルディオールの呪いよ!!」


 ザワザワ、ザワザワ。 




**




 ぽかぽか、ぽかぽか、スヤスヤ、スヤスヤ。


 〈また寝てるの-?〉


 ちらり。

 〈・・・・〉


 〈俺この界隈三週目。取りあえず、ここの空は俺のもの!〉


 ビシッ!


 〈ってか、敵、いないけどねー、〉


 〈うるせえ。話しかけんじゃねえ。クソハイン


 〈食べかすあげたら、喜んで大騒ぎしてたよ。無人ハグ達。ヴェクトもなんか無人ハグにあげたら?〉


 〈ほら、〉


 ビクッ!


 〈さっきから、小さいスピルたち見てるよ。あれ、あげたら?〉


 バッ!!

 サーーーーーッ!!!!


 〈逃げた。あーあー、〉


 〈・・・・〉


 スヤスヤ、グーグー。


 〈ふっ、メイに〔お願い〕されてたもんねぇー、守ってるんだ?〉


 プッ。


 「人、食べる、ヤメテェー、お願いします。ヤメテェー、ぺこり。」、〈だもんねえ。ヴェクト驚いてたもんねー。可愛かったのかな?あの子、小っこいからねー、〉


 〈・・・・〉


 グーグー。スヤスヤ。ぽかぽか。


 〈ちっ、マジで寝たのか?つまんねー。ま、いっか。また無人ハグに食べかすこぼしてあげよ!〉


 バサッ!バサッバサッバサッバサッ・・・。


 ぽかぽか、スヤスヤ。



 (・・・・)



 陽当たりが最高の屋根の上。


 猫たちのたまり場であるそこに、恐怖の存在が舞い降りて占拠した。


 身の毛のよだつ彼等が去るまで、猫たちは皆、隠れて様子を窺い続ける。


 そして空には、見たこともない恐ろしい大きな鳥が、ぐるぐると空を飛び続け、獣の血を振りまいては地上に落下させるのだ。


 猫たちは、ただ隠れてそれを見ていた。




 ひゅーーーー、ボトッ、グシャ。


 ギャーーーーー!

 ギャーーーーー!


 「オルディオールの所為だ!」

 「呪われる!」

 「助けて、神様!」



 〈ふふ、喜んでる、喜んでる。特別にこれも〉


 ひゅーーーー、グシャ。ベシャッ!


 ビクビク・・・。


 「生きてるぞ!」

 「イヤァ!」

 「怖いよぉ!」

 「駄目だ、もう、限界だ、」


 「オルディオールめ・・・」


 ワーワー、ワーワー。



 〈うふふ。それ、美味しいよ〉




 この後、屋根上の恐怖の存在は無事いなくなった。それと同時に仲間の黒猫も旅立ったのだが、猫たちの縄張りである住み心地の良い街は、人々の大騒ぎによりしばらく落ち着く事がなかった。




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