7・魔犬take2-独白
「ガルルルル……」
「うぐぐぐぐ……」
「ガルルルル……」
「うぐぐぐぐ……」
「ガルルルル……」
「うぐぐぐぐ……」
「ガル……「うっさいらってらんないでしょ!?サイクロン!」
手はず通り、ゴーレムを討伐したB-3連隊は、次なる敵、ハウンドに挑戦……というか討伐する予定だったのだが、
「まさか、見も知らぬモンスターだとは……」
住民達の通報は間違っており、実際遭遇場所で出てきたのは、
「なんたって、三つ首の魔犬かね」
まぁ、亜矢のいうとぉーりに三つ首の魔犬。てかなんだこいつ。
「ウガァァあぁ!」
先手を打った三つ首は、まずレオに襲い掛かる。しかし、
「そんなんでやられねーよ!」
見事に峰打ちで吹き飛ばす。攻撃手段がまだ分かっていない魔獣とは、こうして持久戦だ。
「ガアアアアァァァ!」
次の瞬間、瞬き一つの瞬間に魔犬がリュウに近づき、ためていたその剣に食らいつく。それも、首が異常に伸びて、だ。
「なっ!?」
首が更に伸びてリュウの腕に食らいつく。命取りとは言えないが、リュウは片腕に傷を負った。
「しゃあ!出来たぜ、俺の一流爆弾!」
かケンがそうさけび、手振りで後退を指す。それにメンバーは同意し、後退する。
「喰らえやあぁぁぁ!」
「ガルルああぁ!」
爆音とともに、二つの影が見えなくなった。
「……ありゃ派手にやったな」
「そうだな。ケンは大丈夫だろうか」
前も使ったが、ケンの爆弾は、ゴーレムの集団を一撃で仕留める程の威力がある。あれをまともに喰らえば、ケンも無事ではない、だが、
「お疲れさん」
『ウォール』の呪文を発動し、無傷のケンが帰還した。
────なんで?どうして?
何故私のケルベロスが?誰に?
……そっか。うんうん。成程。
あの人にやられちゃったんだね。
まぁ、あの人なら…………?
もう一つ聞いていい?何で?何で自分から襲ったの?私利私欲?許可なく?
「私の許可なく『あの人』に!?『あの人』に!?羨ましいいいぃぃぃぃ死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
────ラヴァーの声が、孤立次元に木霊した。
本来なら、契約主が死ななければ死なない筈のケルベロスを、一撃で、ナイフで、腸を切り裂き、脳漿をぶちまけ、口を裂き、足をもいだ。「死」だ。
「はぁ……はぁ…………あぁ、好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキ」
返り血を浴び、残酷で、憎悪に塗れた顔をした彼女は、その後、頬を紅潮させ、うっとりしながら、こう、呟いた。
「『流星レオ』、大好き。一緒になりたい」
────最後の方は、酷く無感情だった。
昨日の分まで取り返す(したい)




