33・天界の記憶へ
「う、うぅ…まさかスロックが見も知らぬ奴に撤退されられるなんて……この堕天使…いや、ルシフェル!!」
「おや、そんな事を言われるとは思っていなかったけど……幼ヴァルキリーさん?」
「……うるさいのよ。黙りなさい」
路地裏。2人の人影が対峙している。
片方はアフレイド。
片方はルシフェル。
「……では、先に手は打たせてもらうよ。『ヘル・マター』『ゴート・アスト』───あぁ、これは新作だ、『嫉妬』」
「ごちゃごちゃ言ってるなら死ぬがいいのよ!『怨槍』ロンギヌス!『ゴート・ソード』……『怨風穿』!」
ロンギヌスと『嫉妬』がぶつかり合う。
……正確には、離されたロンギヌスが『嫉妬』の塊から放出されるダークマターを連続で貫いているのだが。
「あら、それ以外でも勝負する?」
「…あなたの顔なんて、もう見たくないのよ。とっとと失せるのが最善かしら」
「…………まぁ、そう言わず。昔話でもしようじゃないか」
ルシフェルが指を鳴らすと、世界が影に飲まれ、時間が停止した。
「ふん、つまらなかったら『インパルス』で貫くわよ」
「おや、まぁ……ロンギヌスを手に入れたら元の槍はどうでもいいのかい?まぁ、僕にはどうでもいい、早く昔話でもしよう」
「やっぱり戦乙女隊長だけあるね、あんた」
「……へぇ、またあなた1位だったのね」
「それほどでもないのよ。……というか、あんたらが槍の手入れやお稽古手を抜いてるからかしらね」
「そんな事を言わなくても……キャミスさん」
「……名前で呼ぶのやめなさい」
「じゃあ、シェリアさん?」
「……そうよ」
過去の天界。
常に天界と地獄が対立している状況の中、つかの間の平和。
「あああぁぁぁぁぁ!」
「アラール!…ちっ」
「おらあああああ!」
「全く死神風情が……『インパルス』!」
「「「ぐはあぁぁぁぁぁ!!!」」」
そんな平和は、3日も持たず。
「そこのロリ死ねええぇぇぇぇぇぇ!」
「ふんっ!」
「ぐはあぁぁぁぁぁ!」
戦いは、天界有利で進行した。
「……へぇ、あなたの父がゼウスなのね」
「そうだけど……何か?」
「いえ」
「ゼウス様!私もう我慢できません!」
「(なんじゃこいつ可愛い)こっち来い」
「はい!私、ルシフェルと申します!」
「……この飲み物は?」
「琥珀酒です」
「ほう……」
「れー?もっとたのしもうぞ!」
「ゼウス様…ワールド・ハートをください」
「あ、いいよ」
「失礼します、お父……はぁぁぁぁ!?」
「なんて事があったねぇ」
「お父様を堕落させたその『堕愛』……お前の肉体ごと穿ってやるのよ!」




