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クライアル・ストーリー  作者: ホーリー。
StoryⅠ 平和の崩壊
33/34

32・病娘の堕愛

「ぐっ……ここは……」

「遅いわよ。ここは、私の次元。次元転換でもなきゃ出られないわ」

「……完全にやばい」

「全く同感だ」

ケンとリュウが目を覚ますと、そこは闇の靄でできた小空間。

───恐らく、ラヴァーのマイルームの様なものだろう。

「──何時までボーッとしてんのよこのクズ虫!とっととレオの場所くらい教えなさいよ!!!!」


「……言わない方が良くね?」

「……絶対に言ってはいけない」

「そこ!ひそひそ話してもわかるわよ」


ラヴァーの手にハートが出現した。

あれはなんだろう、でも、何かとんでもないものだった気がする。


「これは『ワールド・ハート』。……私の願いを、全てあいで、愛で聞いてくれる!これさえあれば……お兄ちゃんをずっと私のモノにできる!私の彼氏にも!!!夫にも!!!───それと同時に、あなた達を拷問死させることも出来る」

「ひっ……」

「これは…まずい」


「……え?そんな使い方があった?」

すると、ラヴァーは独り言をつぶやき、それをゲートの縮小版の様なものに入れた。


「…さぁ、私の願いを叶えて」


「……!?」

「すっ……はぁ……?なんだ、これは…」

「あなた達の心を読んだの。ついでに、あなた達からはお兄ちゃんの記憶を奪った」

「……お兄ちゃん?」

「?どういう事だ?」


すると、空間に亀裂が生じ、靄が晴れれ元の世界に戻った。


「レオ……レオレオレオレオレオレオオオオォォォ!!!!!アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!お兄ちゃんだれそう!私だけの!モノ!…………一生、離れられないようにして上げる!!!!…ハァ、ハァ、ハァ、 …喰べちゃいたいわあああああああぁぁぁぁぁ!!!!!」


「レオ?誰だよ」

「……どちらにしろ、こいつは倒さなくては」

「あ、あと、あんた達に興味無いから死んで」


「…下」

「…ぁ」

いつの間にあったのだろう、靄が足元を埋め尽くし、そこからは、


「『ゴート・ディエ』『ゴート・イレーズ』…『トロイの狂気』」


靄から数十の棘が飛び出し、ケンを、リュウを、蹂躙していく。


「があああぁぁぁぁ!!!!」

「ぐはあぁぁぁぁぁ!!!!」


靄は消えた。

後に残る血の池、二つ。

「────二つのクズ虫も、消えたのに」


───まだ、満たされない。


「レオ」


───もっと、見ていたい。


「お兄ちゃん」


───唇を、もっと奪いたい。


───純粋ではないかもしれないけど、



「愛してるわ、お兄ちゃん……流星レオ」


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