29・狂愛者のサポーター
『……やっぱり、もう少し魔力に耐性がある肉体と契約すべきだったのかね』
「……あああぁぁぁぁぁ!レオぉぉぉぉ!おにいちゃぁぁぁぁぁん!」
とある都市。
暴走するラヴァーの脳内で、ルシフェルはやや疑問を持っていた。
『堕天王様から大天使も転生されたと聞いたのだけれど…これでは人探しも何も無理ね』
「レオレオレオレオレオレオオオオォォォ!!!!!ハハハハハハハハハハハ!!!!」
『堕愛…ね…そういえば、ホーリーは…確かアイツが転生されたなんて、意外だったわ』
「アハハハハハハハハハッッッ!!!!!」
『アイツの「純愛」……どこまで行けるのか楽しみね』
ルシフェルは不気味に笑い、ラヴァーに語りかける。
『あの、ラヴァー』
「ハァ、ハァハァ、……な、なぁに?」
こんな時でもこいつは顔が笑っていて、目は狂気、憎愛、性欲に溢れている。
──自分の過去を思い出してしまった。
いけない。
『レオ──あっち』
「あっち!わかったァァァァ!!!!!」
……本当に、こいつの元の身体能力は凄まじい。
掛け合せの魔法を容易く使いこなし、全ての攻撃を受け流すことが出来る。
────やはり、優秀かな。
『さぁ、レオの元へ行きなさい』
「ハァ、ハァハァハァハァ、レぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ラヴァーの足元に魔法陣が展開し、黒く澱んだ霧の中から魔の手が飛び出す。
「 アハハハハハハハハハ!!!!!」
一際大きな魔の手に正座し、魔の手の軍団が動き出す。
────やはり、こいつは気持ち悪い。
何処から、こんな欲望が湧き出てくるのか分からない。
『このループも失敗かな』
ルシフェルはそう呟き、いよいよ闇へ消えた。
「ねぇ、キュバーさん」
「何か?」
「私の事、先輩がどう思ってるか分かります?」
「……まぁ、読心術は勉強したから。後、別に亜矢の事なんてどうとも思ってないと思うわよ」
「ええぇ……」
「まぁ、いくわよ」
キュバーの左手、小さい玉が発生した。
その玉はすぐ消えたが。
「……あぁ……なるほどね」
「で!?なんて?」
「『少し気になってる、まぁユリーだけど』だって」
「ふええぇぇぇんん」
秘密の女子会話。
既にメンバーはぐっすりだが、2人だけ起きていたのだった。
「明日までに私にふりむかせてください!」
「いいわよ」
────明日が楽しみだわ、