26・幼馴染の告白
「あ、ようやく見つかった」
「もー、しんぱいしたんだよ?」
「すまない…私の力不足だ」
「おーい、レオ、何かあったか?」
「……この状況で何も無いわけないだろ……」
集落が近くにない、大草原。
そのど真ん中で、B-3連隊は、ようやく合流した。
「所でユリー、集落は近くにあるか?」
「えっとね、…かなり遠いけど、うーん…あ、おっきい!」
「ふぅ…中規模都市か…良かった」
「しばらくはそこで休憩する。3日程でデフォルに戻らなければ」
こうして、歩く事3時間。
「はぁはぁはぁ…着いたぁ」
体力のあるレオですらこれだ、ほかの面子は既に死んだ目をしている。
「もう…だめぇ」
「しぬ、ぜったいしぬ」
「今すぐシャワーでも浴びたいです先輩」
「悪いがレオ…直ぐに宿を探さなければまずいぞ」
「じゃあ俺が探してくるよ」
そう言ってレオは歩き出した。
幸い宿の大部屋が空いており、客も少ないので貸切と言ったところ。
「ひゃほー!ごろごろーぉ」
「先輩に感謝ですねぇ……」
「レオ、サンキュな」
「もうすぐで全滅寸前だったな」
「あぁ、こっちも死ぬかと」
しばらくして、
「この宿お風呂あるってさー、しかも混浴」
ケンの何気ない(ある)一言によって、大乱闘が起きるのだが。
「はっ、はぁぁ!?こ、ここここここ混浴!?」
「亜矢、動揺しすぎ……」
「そういうユリーも顔が綻んでる」
「ケンだって顔がにやけてる」
「……レオ、君も笑っているが」
取り敢えずじゃんけん。食事の時間まで30分しかない。2組に別れることにした。
「「「「「じゃーんけーん」」」」」
「まさか…私が?先輩と、とととと」
「奇遇だねー、わたしも」
「レオぶっ殺すぞ何でこんな時に限って女運いいんだよ」
「ははは、それはしょうがないだろ」
「レオ、顔がとてつもないほどスケベだ、はっきりいって怖いぞ」
先行はレオ達になった…所で。
「あ、ここお風呂じゃなくて温泉だし、しかも二つあるからゆっくり入れたわ」
ケンがまた余計なことを……。
「ふぅー…」
この声は…レオだ。
風呂場の扉を閉め、早速シャワーを使う。
すると、
「あの?先輩?どこいったんですか?」
「湯煙が多くて見えないよぉ」
前半亜矢がぎこちなく、後半ユリーが楽しそうに話している。
「あ、俺こっちのシャワー使ってるからら反対側使ってくれ」
「はーい」
「わかったよー」
…ん?誰か後ろにいるのだが……。髪を洗っていて目を瞑っているため、見えない、と言うか感じられない。
「誰だ?」
取り敢えずシャワーで流そうとすると、シャワーもない。あれ?と思っていると、いきなり後ろからシャワーが発射された。
「わっ!?」
「…あ、先輩、いえ、コホン、だーれだ!」
「亜矢」
「ふぇーん」
「取り敢えず先輩の頭流しますねー」
「あぁ、助かる」
ジャー、とお湯が音を立てて流れていき、完璧に泡がなくなる。
「あー、ありがとな」
その直後だ。
「先輩体洗いますね!はいー」
「ひゃあっ!?」
素手で背中を洗われ、思わず声が出てしまう。
「先ぱぁーい、もう、ふふ、可愛いなぁ」
「ううぅ…」
「はい!流しますよ?」
またお湯が流れていき、綺麗に泡がなくなった。
「さ、先輩、温泉入りましょ」
「あ、あぁ、分かった」
そのまま彼女に手を繋がれ、温泉へ。
良かった。ちゃんとタオルは巻いていた。なんとなく残念にも思わない事もないが。
「ふぅー……気持ちいい」
「ですよねぇ」
やたら喋り方が艶めかしいが。気にはしない、うん、気にしない。
「はむ」
なんか耳が温かい、……ん?
「ひゃあぁっ!?」
「べふにいいりゃないれふかぁー」
そう言って亜矢はさらにこちらに密着してくる。やめろ、胸が触れてるって。
「へんはいはぁ、わたひのほほぉ、ふひへふは?」
「はぇ?」
何言ってるか、全くわかりません、亜矢さん。
「ぷはぁ…だからぁ、先輩は…その、私の事、えと、好き…です、か?」
突然の告白。まさか、ただの幼馴染みがここまで俺の事を思っていたとは。
森の中にあるはっぱを見つけるくらいわかんなかった。
「まぁ、どっちでもいいんですよ。────今から先輩の体をユリーちゃんの魔法で動けなくして、いろんな事しますから」
───いろんな意味で、やばい。
気がついたら戦闘回じゃなかった……
次次回辺りを予定にしよう、うん。