25・病娘の軌跡
「ねぇ、花恋ちゃん」
「んー?なぁに?」
「やっぱ…可愛い」
「んー!ありがとぉー!」
都内某所。
大通りを歩く人々の中、異質なカップルがいた。
片方キモオタ、片方超絶可愛い高校生。
「俺みたいな奴ともデートしてくれるなんて……今なら死んでもいいかも」
「嬉しいなぁ。ふふふ、ありがと」
その夜。
「ばいばーい」
「またねぇー……ああまじやってらんないし、何であんな豚オタクとデートしなきゃいけないんだし」
結実花恋。みのりかれんと読む。
彼女はある家庭の事情により、こうしてデート等でお金を稼がなければいけない。理由は単純。
───社長の父親が、ギャンブルにハマったからだ。
何も知らない彼女の家に、借金取りが押しかけるのを見て、倒れそうだったのを覚えている。
「はああぁぁ……ん?」
コンビニを発見。
「さて、今日も……」
「いらっしゃいませ」
静かな音を立て、自動ドアが閉まる。
「さて」
手当り次第にお菓子や飲み物をカゴに入れ、雑誌やカップ麺をカゴ3つにいっぱい入れた。
「お、おいあの女やばいぞ」
と、レジのおっさんが隣の新人の大学生らしい人に囁いている。
「お客様、レジはこちら──」
店員の静止も聞かず、自動ドアを抜けて走り出す。
もう何回目だろうか。
学校にも行かず、勉強もせず、ただ近くの野良男とデートして金稼いで万引きして家に帰る。はっきりいって、顔が良くなきゃ生きていけないだろう。
玄関につき、扉を開け、自分の部屋までダッシュ。エレベーターを使い、また廊下を進む。
「はぁ……はぁ……」
自分の部屋に着き、ドアを閉め、ベットに飛び乗る。何故か父親が豪邸だけ売らないのが唯一の救いか。
近くにあるノートパソコンを引っ張り、警察のサイトを確認。
万引き情報は…載っていた。
『7月30日午後9時31分、女子高生と思われる女性が万引きをしました』
「はぁぁ……」
ページを閉じ、ノーパソも閉じる。
そして眠くなったので瞼も閉じる。
──もう、死んでしまおうか。
せめて、こんな私を、誰か、愛して…。
夢を見る。
アニメで観たような、空間の裂け目。
それは 、何か私を引き付けるようで。
そこに
自分から
飛び込んでいった。
『ルシフェル…私の名前よ。貴方と契約する…堕天使よ。私の力…堕愛…貴方にあげるわ』
────目が覚めた時、硬い地面の感触がした。
「ふぇ!?」
『目が覚めたみたいね』
「あ…あなたは?」
『私は堕天使「ルシフェル」よ』
「……ここは?」
『貴方が住んでる…まぁ、次元とは違うでしょうね』
「ええぇっ!?」
『全く…こんなに驚く事ないじゃない』
落ち着いて辺りを見回す。
周りは森林。誰もいない。落ち着け。私。
……何か自分の中から湧き出てくる。
──欲望。
──渇愛。
──嫉妬。
──狂愛。
──性欲。
──絶望。
『これが私の「堕愛」…強すぎたな』
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
────今さっきまで在った筈の清楚な女子高生は何処にも無くて。
そこに在ったのは、ただの性欲の塊。憎愛の具現化。狂気的な目をした───
「あああぁぁぁ、あ?……私は、誰?」
『決まってる。───世界から愛され、森羅万象から愛され、全てのものから羨望の眼差しを浴びる物だ』
「名前はあああぁぁぁ!!!!???」
『ラヴァー・モア、君の名前はラヴァー・モアだ』
異世界の堕天使から与えられた力は、
───結実花恋という1人の運命を変えるには、充分だった、いや、充分過ぎた。
ついに本編に戻ります
本編書くの楽しみです(棒)
ラヴァーの過去なげぇよふざけ(殴
次回戦闘回。
お楽しみに。




