24・幼子の名前
「いやあああぁぁぁ!!」
「死ね!このくそ亜人共!」
「やめてててぇぇぇぇ!!」
「キモいんだよ亜人!!喋んな!!」
レオの事件よりも五十年程前。
ここはとある集落……の近く。
この時代は、現代よりも亜人への差別意識が高く、それ故付近の亜人集落の襲撃が行われるのも珍しくは無かった。
「よし...これでメデューサは全員捕らえたな、後は全部奪って男が戻る前に退散だな」
「そうだな」
「……ん?」
おかしい。私は今まで宝石のネックレスを作っていたはずなのに。なんで縄で縛られてるのだろう。
「...お、起きたか」
「ひっ………こ、ここは?」
「あー、ここはお前の住んでる集落の近くの人間の集落だよ」
「..え?」
───何故、私が人間の所にいるのだろうか。
……もしかして。
「あ、おう、一応言っとくとお前は襲撃で捕縛されたんだよ」
「……」
その時、足音が聞こえた。
「あぁ、今起きました、村長」
「よし...早速小屋に入れろ」
「何処がいいですか?」
「...東棟だな」
「……分かりました。...おーい、お前ら!とっとと連れてけ!」
「「はい!」」
その後、私は薄暗い小屋に入れられ、三階の部屋に入れられた。
───何故か、首輪を付けられて。
それにしても、殺風景だ。4畳程しかないし、そして布団とテーブルしかない。
「準備終わりました」
「分かった…よし、誰からやるんだ」
──そこからは、もう忘れたい。
お昼は、ご飯を少し食べた後、服を縫ったり、装飾品を作らされたりした。
──夜は、5人くらいの男の人が入ってきて、いやらしい事をされたり、暴力を振るわれたり、時々女の人が入ってきて慰めてくれたりもした。
───そんな生活を、もう何年繰り返したか分からない。
そんな生活は、突然幕を閉じる。
「なんだお前らぁ!」
「私は王国討伐連隊、B-3連隊、亜矢って言うの!被害者の家族を返してもらうよ!」
「私も、同じくB-3連隊の隊長、アランテ・リュウ・ヴァテラという者だ。心無い事を……絶対に許さない」
「俺も、右に同じ、流星レオだ!」
「...あー、俺も?俺はケンね。後、お前らの足元やばいと思うよ」
「あァ!?...あ、確かにぃぃぃぃぃぃぃ──」
「落とし穴くらいは出来るってんの」
「おい!...あ、居た!君、大丈夫か?」
──その人は、随分かっこよく見えた。
元々自分の目標が無かったからかもしれないし、尊敬する人も居なかったからかもしれない。でも、自分の生活を変えてくれたのだ。
私の時間を戻してくれたんだ。
「...ところで、君の名前は?」
──頼んでみようかな。
うん。こんなかっこいい人に、ついて行きたいな、と感情が訴えてきた。
「...え、え、と、私は、ユリー・フレイヤ」
「良かった……被害者の1人だ……」
「あの……いいですか?」
「?」
「...その…よかったら、ついて行っても、いいですか?」
今回でようやく四章終了……ではなく、もう1話あるんで、楽しみにしててね!!!!
誰の過去書くかな……?