22・病娘の私欲
「───チッ!」
「なによ、なによなによッ!どうしてあんたも私と彼の愛を邪魔するのおおぉぉぉぉ!?」
時は現実、シズクVSラヴァー。兵士寮の壁と壁を使用し行われているコロシアイ。
「...先輩に、近寄るなああぁぁぁっ!」
「きゃっ!...よくも……よくもよくもよくもよくもおおぉぉ!」
銃声が響き続け、刃物がお互いの肌を掠め合う戦い。しかし、ラヴァーにはまだ策がある。
「...私の虜...行きなさいッ!」
「バウウウゥゥッッ!」
魔獣『デスバックル』。
以前レオの連隊を襲ったケルベロスの正式名称。彼女の憎愛を糧に存在する。
それが、数体ならまだしも、100匹以上もいるのだ。本来手数で攻める魔獣では無いのだが、それが相まって絶望感を駆り立てる。
「ふんっ!こんなもの...これでッッッ!」
シズクが取り出したのは、レーザーライフル。
「...へぇ、そんな近代的なもの使うんだ」
ラヴァーも取り出すナイフを飛躍的に上昇させる。
「ガウッ!?」
「グギュルッ!」
「ガァァッっ!」
しかし、シズクの精度が勝り、ナイフと同時にデスバックルの群れも減っていく。
「こんなぁ、こんなこんなこんなこんなぁぁ!?ことがぁ!?...あっては、イケナイっ!」
「ふんっ、同じセーラー服が被る。どちらか消えないといけないんじゃない?」
「そ、れ、は……あ、な、た!」
そう言うとラヴァーは 魔法陣を展開、そして────
「ゴート・ディエ、メガ・アスト、ヘル・ミスト、ゴート・マタアァァァ!」
「何っ!?」
魔法を組み合わせる高度な技術。それを目の前で一瞬で見せられ、いや──
「魅せてあげる。私の、『愛のカタチ』。……魅入って、死ねえええぇぇぇっ!!!」
黒く染まった靄から、死を告げる魔の手が、シズクに向かって伸びる。360度全ての方向から、シズクを八つ裂きにせんと。
──まぁ、そうかんたんにはやられない。シズクもサブマシンガンを2丁取り出し、
「フルバースト!ダブルマガジン、レイドバージョンッッッ!」
「───は?なんで?それで?何がどうなったっていうのよ!私の!『愛のカタチ』!カタチが!そんな!どこにもいる!カスにぃぃぃぃぃ!」
シズクの撃った弾は全てが魔の手の脆い、『コア』にあたり、靄を残して魔の手は全て無くなった。
「あああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
ラヴァーは絶叫し、もう1度魔の手を放出する──寸前。
「こっちの番だ!『ミッドアシクス』!塵芥に散れッ!」
ライトマシンガンから出る弾の100倍を超えるであろう弾幕・威力、弾数。それら全てをまとめてラヴァーに叩きつける。
「あああああぁぁぁぁぁ!!なんでええぇ!!!私は、私はあああぁぁぁぁぁ!!!」
「戯言は飽きた。私の先輩との青春を、邪魔するな!」
───耳を劈くような轟音と共に、ラヴァーは背後の建物諸共弾幕の犠牲者となった。
「──やっと、終わった。これで先輩とイチャイチャ出来るかも」
シズクはそういって、窓を開け、レオの部屋に入って行った。