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20・死者
まだ、レオが少年だった頃。
レオの故郷『ナスカ』は、そこそこの規模を持つ町だった。
「れーお!早く行こうよ!」
「...ふぁ、分かったよ...」
幼き頃のレオと亜矢。近くの林に何時ものように探検ごっこしにいく時だ。
「レオ。ちゃんと帰ってくるんだよ?」
「分かってるって母さん行ってくるよ!」
「行ってきます!レオのお母さん!」
「はいはい」
「……はぁ、はぁ...ようやく着いたぁ」
「……そうだなぁ」
鬱蒼と茂った木々をかき分け、レオ達は進む。
「きゃっ!...」
「ただの...うん、ただの『グディ』だよ」
『グディ』。
蝙蝠に蜘蛛の脚がついたような魔物。
銀貨一枚の価値もない。
「……なに、あれ?」
「…………?」
ふと目を上げると、少し広い場所に、空間の裂け目がある。
「学校で習ったけど……何だろう、淀みを感じる」
「注意して」
────刹那。
「アハハハハハッ!」
「「!?」」
謎の声と共に、
────死者の行進が始まった。




