表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クライアル・ストーリー  作者: ホーリー。
StoryⅠ 平和の崩壊
14/34

13・幻想の恋人

「...ん?」

これはレオ。

「───そうだ、俺は」

ゴブリン村で、吹き飛ばされたのだ。皆は、何処へ───そこで初めて、レオは異常を察知した。

目の前に、アイツがいる。それは、それは────






「────ああ、私の真の恋人」

「...まじかよ」




────現実世界でのセーラー服を着て、ナイフを片手、黒髪ロングの蒼眼女子高生。


「...ラヴァー・モア」

「ああ、嬉しいわ。私の、なまえぇ...」




性的興奮状態なのか、酷く艶かしい雰囲気を出してこちらを見ている。?何故、座っているのか。何故、俺は立てないのか。────単純だ。



縄で、拘束されていたのだ。



「ハァ、ハァ、ハァハァ.....この為に」







────ワタシは。生きていた。




「...!?」

突然、ラヴァーの思考が脳になだれ込んでくる。その全てが、オレ────流星レオへの愛、欲望、羨望、好意だ。



(くそっ.......逃げられない)

「さぁ、お楽しみの、.....愛の証」



彼女はそういって、セーラー服を脱ぎ始めた。

やばい。やばいぞこれ。このままだと、完全に襲われる。しかし、何も出来ないのも現実なのだ、うん。


「ハァ、ハァ.....私の、愛ぃ、受け止めてええぇぇぇぇぇ!」


彼女の抱擁が来る。熱い熱い抱擁。

その色気ある体で隠しきれない、愛愛愛、そして愛。



「私をぉ、愛してえぇぇ!」

そう言いながら、舌を口に入れてくる。



──どれほどたっただろうか。

彼女は不意に俺から離れた。僅かに残る、バニラの香り。それは俺の好きな香り。───ユリーの、香「.....なんで?」

ラヴァーが問いかける。

「なんで?誰?ユリーって」

なぜ言ってもいないのに分かってしまうのか。単純。






相手にも、心は読めている。


「...ねぇ、その女、そんなに好き?」

ラヴァーの問いかけは続く。

「レオは私の、ワタシはレオの、真の恋人」

ラヴァーの真面目な顔に、覚悟を決めた。





「...すまない。俺は、お前を、好きになれない」

「...」

流れ込む感情は、絶望、憎悪、醜悪、憤怒。そして。

「なら、振り向かせる」

「...」

「...私の、恋人───いえ、私の、物になって、く...ださい」

ラヴァーの真面目な告白。

どんな男性でもOKしてしまうほどの、艶やかさを秘めた告白。

しかし、俺にはいるのだ。想い人。傍にいてあげたい。世話をしたい。守ってあげたい。笑いあいたい。愛を育てたい、

そんな人が。


「...やはり、答えは変えられない」

そう、言い放った。



その彼女は、絶望に溢れた顔つきをしている。

その顔は、どことなくユリーが泣いた時に似ていて、情が湧きそうになった。

それでも、答えは───そう、変わらない。





「...なんで!?なんでえええぇぇぇぇぇ!?なんで私の!物にぃぃぃぃぃ!!!」

その瞬間、縄が消え、俺はラヴァーに押し倒されていた。

「ちょ!話せばわかるって!落ち着け!」

「...もう、耐えられない」

彼女は、もう澄んだ目をしていない。

大切な人を失いそうで自信が崩れかけている。

「.........もう、いい」



そう言うと、その下着を取った。

美しい曲線に、いっそう拍車がかかって綺麗に見える。

「...ぁ」


このままではまずすぎる。




────あれを使うしかないのか。



いや、いい。

──仲間が、そこにいる。



「せんぱーい、...は?」

早々に飛び込んだ亜矢が、その光景に、唖然。


「レオーっ!……え?」

続いてユリー。


「レオっ!……あ」

笑う反応をした所を見ると、ケン。


肝心のリュウが来ないが──いい。

このままダッシュで逃げる。




「...逃がさない、レオは、私のモノ」




────────そんな声が、聞こえた気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ