12・破壊の鎧
スロック・ワガ。
彼の肉体は消えて、今はもう魂しかない。
それでも、彼が生きていられるのは────
「…こいつが...スロック?」
「…ガシャン」
「なんだよー!俺達みたいな雑魚でも余裕───」
ゴブリンの戯言。言い切る前に、スロックは────
────己の魂が繋がれた鎧を操り、手に持つ大剣を振り下ろす。
ぐしゃ、と音がなり、戯言を口にしたゴブリンをプレスマシンの如く紙っペラにする。
その切れ味は、むしろ鈍器に近い。
「…え」
他のゴブリンが唖然としている間、彼はその剣を振り回し、身動き一つ取れない雑魚共を根絶やしにした...ところで、
「ユリー!」
「あ、レオぉー!」
感動の再開。
「ユリー────?」
レオが驚くのも無理はない。ユリーが入った檻の前に、巨大な鎧がいるのだから。
「────スロック・ワガ」
「──なるほど」
リュウが前に出て、奴を宥めようとする。が、鎧は動じない。
「おい、リュウ。こいつ置物じゃね?」
ケンが笑いながら鎧を押す。すると、
────鎧が起き上がり、
「──ワタシは、スロック・ワガ」
「.....は?」
「──侮辱罪に基づき、キサマを排除する」
────轟音が、ゴブリン村を破滅で埋め尽くした。




