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既視感


ー さて、主人公が魔法を使いこなす修行を始めようかと思うんだが。

まずは俺の思わぬ方向に勝手に進んでいっちゃったこいつらを修正するところから始めようか。

いくら俺強と言っても、俺の知る限りではみんながみんななんの努力も無しに俺強になったわけではない。

影ながら努力をしている主人公や、才能はあれど、それには驕らない主人公。

人気のある俺強主人公とはそんなものだと、俺は思っている。

最初から強ければそれはもうチートだ。

チートも嫌いではないが、今回書きたいのは俺Tueee小説。そう、そこから脱線してはいけない。

軌道修正っと。 ー





「っ!?なんだよこれ!!」


俺は驚いて、思わず本を閉じた。

途端に火柱が散った。

人喰い花は跡形もなく燃え尽きている。

手が震える。冷や汗も出てきた。クラクラする。ヤバい、倒れる…。

こんなところで…倒れたら…ほんとに…御陀仏、だ…ろ


ドサリ



「流石に上級魔術ははやすぎましたね…。」


朦朧とする意識の中で聞こえたのは、あの本と同じ声だった。




歩いている。周りを見渡している。

夢を見ていると、目が覚めてからすぐに気が付いた。

夢を夢だと認識できる夢。

自由に体を動かせる夢。

昔からたまにそういう夢を見た。

内容は様々で、現実世界に忠実なものだったり、はたまた全然別の世界観のものだったり。

統一性はないけれど、どこか既視感を覚えるものが多かった。

夢というのは、記憶を整理するために見るものだと聞く。

既視感を覚えるのも、普通の事なのだと思う。

だけど本当に?

今になってその違和感にようやく気付いた。

現実世界のあれやこれはともかくとして、別の世界観の夢たちは、別の世界観と言う一つの世界観で繋がっていたのではないか?

この夢の中でそう思うようになった。



いつの間にか手にはめられていた指輪。

見覚えなど全く無いと思っていた。

だけど夢の中にたって、あの別の世界観の夢の中の事を鮮明に思い出す。

その全てに、これと同じ指輪があった。

もしかしたら思い違いかもしれない。

でも、思い違いじゃないかもしれない。

とは言っても、この指輪にどんな意味があるのかなんて全く分からないのだが。



パチリ


唐突に目が覚めた。

俺は教会の中に寝かされていたようだ。

「?誰が…?」


「あら?目が覚めたんですか?」


本が語りかけてくる。

本が、って本!?


「?どうかされました?」


そこには1人の髪の長い、透き通った肌の女性が立っていた。




ー あれ?急展開。

主人公に関しては何とか軌道修正したと思ったんだけど、あれ?

違う方向に急展開。どうして?

何で俺は自覚のないままに書き上げているの?

ちょっと一休みしよう。疲れてるのかもしれない。 ー

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