過去な話② アタック
今日は二人の過去に遡って―
※すみません、投稿時現在な二人の部分「中学生」となっていましたが「高校生」の間違いです。
訂正しましたので、脳内変更よろしくお願いします!
「おはよーございます、真田さん!」
横断歩道の見守りを終えて帰ろうとしているお巡りさんに、後ろから声をかける。すると、少し肩を落としたあと顔だけこちらに向けた。
「おはよーございます」
うん、今日もとっても迷惑そうだ!
素敵な筋肉さんは、名前を真田正則さんと言った。
あの日からなるべく朝早く家を出て、真田さんと挨拶をするのが日課になった。最初普通に挨拶をしてくれていた真田さんは、その行動が一週間くらい続いた時点で、何かおかしいと感じとったらしい。一週間で私のヨコシマな感情に気付くとは……。
筋肉が凄い人は、観察眼や危機察知能力に優れているわけだね(確信)。さすが筋にk……じゃなかった、お巡りさん。
それは多分初めて会ってから一か月位のある日。直球で聞かれました。
丁度見守りが終わって交番に帰る時に挨拶をしたら、困ったように眉を顰め(……ると、唯の怖い人にしか見えないのが愛しい所だ!)て、片手で後頭部をガシガシと掻き上げた。
いつも流されるように挨拶を返されていただけだったから珍しい反応だなぁと見ていたら、何か覚悟でも決まったのか私を見下ろして口を開いた。
「君は、私に何か言いたい事でもあるのかな」
「お名前教えてください」
「は?」
間髪入れずに返答すると、思っても見なかった答えだったのぎゅっと眉間に皺が寄った。
強面な人の標準装備以外の表情は、かわいいのぅ。……そんな事を考えながら、もう一度お名前を教えてくださいとちゃんと目を見てお願いしてみる。
「名前? 私の? なんで」
今までこんなシチュエーションに出会ったことがないらしい。いや、あるわけないか。見守りのお巡りさんに突進していく女なんて、そうそういないか(一応自覚してる)。
戸惑う様に眉根を寄せたお巡りさんは少し逡巡した後、真田です、と溜息とともに答えてくれた。
なので、私は突撃をかましたわけです。
「真田さん、好きです!」
ぽかんとした顔が、今でも忘れられない。
その場で速攻断られたわけだけど、特にダメージはない。
当たり前だと思う。職務中のお巡りさんに突撃かましたわけだし。
そう真田さんに伝えたら、ポジティブだね……と苦笑してた。その顔もまた可愛い。
筋肉がきっかけで意識しだした真田さんへの気持ちは、今は彼自身にその想いは移っていた。
いや、筋肉は重要だから筋肉は重要だけど。
そんなこんなで今日も今日とて楓ちゃんは、真田さんに突撃かましてあしらわれるわけです。
「真田さん、好きですよ」
「はいはい、行ってらっしゃい」
いつになったらちゃんと私の気持ちを受け取ってもらえるかな、なんて乙女っぽい事を考えながら、今のこのやり取りが楽しくてたまらない。
「では行ってきます」
「……気を付けて」
……困った顔をしながらも、ぽんと頭に手をのせて挨拶してくれる真田さんが好きですよ、私は!
諦めさせようと思ってないだろこんちくしょーめ!
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現在な二人。ショート☆ショート
「あの時、本気で断ってた?」
「あー、いやー。んー、ほら」
「何そのうやむやにしたい感。許さねーぞ」
「あー、怒るなよ?」
「言ってみて」
「怒るなy……」
「言ってみろ」
……
「高校生だと思って……」
「骨は拾ってやる」