決断
「なぜ生きているのですか?」
「・・・はい?」
あまりに唐突な質問に返答に詰まる。なぜ生きているのかなんて聞かれても困るんだが、というより、
「もしかして、俺のことを殺すつもりだった?」
「まさか⁉︎そんなわけ、ないじゃないですか⁉︎」
取り繕うの下手だな!てか今更そんなこと言ったってもう遅いしな。俺がアイエルの目を見つめ続けるとアイエルはどんどんしぼんでいった。
「説明・・してくれるな?」
「・・・ハイ」
アイエルから説明を受け、その内容を端的にまとめる。つまりだ、俺を器にするために殺そうとしたということか。説明しながらもどんどん泣きそうになっていき、最終的に死んだ魚の目をしているアイエルを見ると怒る気になれない。俺も随分お人好しが過ぎることを再確認したところでさっきから気になっている疑問をぶつける
「で、なんでどんどん羽が小さくなって、体が沈んでいくんだ?」さっきまでアイエルは椅子の上にこそいたものの体は浮いていた。しかし今は完全に地に足つけている。それに加え神々しさも消えている。
アイエルは自分の体を見た後合点がいったように話し始めた
「ああ、これはあれです。体内に残っていた力が尽きたんです。」
ん?なんで尽きるんだ?
「空間から無制限にエネルギー供給を受けられるんじゃなかったか?」
「ですから、受け取れなくなったんですよ。というより、力がなくなったんですよ。」
「おい待てどうしてそうなった?」
「どうしてって、それはもちろん力を吸収されたからじゃないですか、貴方に。」
「・・・は?」
いやちょっと待て、今なんて言った?力を吸収した?俺が?何で?様々な疑問が頭の中をよぎる中アイエルが口を開く。
「論より証拠です。実際に体験してもらったほうがわかりやすいでしょうし」
そう言うとアイエルは部屋を見渡して落ちていたレンガを拾った。何をしているのか気になったが、見てろ、と言われたので黙って見てることにしよう。
と、思った矢先アイエルがレンガを投げつけてきたとっさのことで反応が遅れ、回避が不可能だと判断し防御体制をとる。しかし目測で2秒でぶつかると思われたレンガは投げられたはぶつかる一秒前で止まった。否、消えた。何が起きたのか、その疑問を視線でアイエルにぶつける。
「先ほど言いましたよね。貴方に力を吸収されたと。つまりこうゆうことなんですよ。」
どうゆうこと⁉︎全然わからない。
「今貴方を守ったのはファイヤーウォールと呼ばれるもので使用者にダメージを与えるものを完全に焼き尽くすものです。そしてそれは元々私の力です。」
あ、今のは少しわかったかもしれない。
「つまりだ、なんらかの原因でアイエルの力を吸収してしまい、アイエルの力を使えるようになったと、そうゆうわけか?」
「わかっていただけて幸いです。」
返答するとともにアイエルは深いため息をつく、
「どうしたんだ?」
「いえ、ただ今のレンガの実験でわかったことが二つあります」
「それは一体?」
「まず、今この状況は、つまり貴方が私の力を吸収してしまったことは事故ではなくそのような仕様だったということです」
そう言う仕様?どうゆうことだ?
「まあこのことに関しては後々説明します。」
アイエルはどんどん影を落としていく。
「そして二つ目は」
二つ目は?
「もう私に力の根元が帰ってくることはないということです!」
んーと、つまり
「もうアイエルは力を使えないということ?」
「正しくは器になったが正しいのですがいまはその解釈で構いません。」
「事故ならばあのレンガで貴方をやれたのですが自動でファイヤーウォールが発動したということは、力が貴方を主だと認めたということ、つまり力の主導権が貴方に移ったということです。」
細かいことはよくわからんがつまり俺はアイエルの力を自分の力として使うことができるということか。
・・・なんというか、めっちゃ怖いんですけど。
いやだっていきなり神の力を使えるようになりましたとか言われたら普通ビビるでしょう。
「まあ細かいことはおいおい説明しますがとりあえずいまの貴方を一人にするわけにはいかない、というか私貴方から離れられないので貴方にも手伝っていただくことにします」
何をするのかも、こちらの意見なども一切聞かないで決められてしまったが、俺自身こんな状態で一人にされるのは御免なので、従っておくことにしよう。
とまあ、それはいいんだが、
「なあ、アイエル、つまり俺のこと2回も殺そうとしたのか?」
「全然そんなわけないじゃないですか⁉︎ほんとですよ、ほんとに!」
いやだからさ、
「何か俺にいうことはあるか?」
「ゴメンナサイ」
・・・許してやるか。俺、お人好しだしな。
なんか、よくわからないことになったなぁ




