真実と真相
「今まで聞いた話をまとめると…」
重い空気で包まれていた軽食屋の一角で、不意にアイエルが口を開く
この地下世界が出来てすぐに作られた ナフカ と呼ばれる、この地下世界の統治をする組織を支持する財閥によりこの国は事実上支配されている。
そしてその財閥が最近、資源の卸を極端に渋っており
国は過疎の一途をたどっている
「と、いうわけですね…」
いつもは軽口の絶えないアイエルも、重い雰囲気にそれ以上の言葉を紡がない。
それを幸いとして頭の中の情報を紡いでゆく。
なるほど確かにアイエルのまとめてくれた情報は正確だ。確かに、俺もその旨の話を聞いたしこの町の現状を見る限りそのとうりなのだろう。じゃあ一体…
「あれをどう説明するんだよ。アイエル…」
少年が見据える先には、高台にさらされ、今にも首を落とされそうな少女の姿があった…
それは、っとアイエルは口調を変えることなく続ける。
「見せしめのため、ではないですか?」
そうそこだ、それこそが俺ら2人を包む重い雰囲気の原因。そりゃそうだ、飯食ってる時に眼の前で女の子が殺されそうになっていれば気分くらい悪くなるし空気も重くなる。だが問題はそこじゃない。一番問題なのはその理由だ。正直、理由はわかっている。最近この町ではナフカに対する反感が高まり、暴動が多発している。それを、幼子を使い沈静化させようとしている。恐怖政治を行う国がよくおこなうことだ。
働き手を減らさず、暴動の意志を揉みつぶす。
確かに有効だし、それ自体には違和感はない。
しかし違和感がある。確実にそれだけではないと言い切れる。この現状には、暴動の沈静化よりもっと大きな何かが裏にある。それを…
「わかってていうのか?天使さんよ」
苦笑交じりに吐き出す言葉をアイエルはかすかな微笑みで受ける。
「それもそうですね、しかし私にもまだ全容が見えません。さしの私もそんな力を持ち合わせておりませんので…」少し残念そうに、しかし楽しそうに呟く。
「一つだけ、確認することがある」
なんでしょう と俺の先の言葉を見越したように返すアイエルの目を見据える。
「俺はあの少女を生かしておきたいと思っている。」
お前はどうだ?…と目で聞く。
するとアイエルは、その言葉を待っていたかのように「では、どうしましょう?」
と微笑んだ




