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【序章】騎士団編ー⑨

「あ、あれぇ、全然できなぃ⋯⋯」


ロサが情けない声を上げると、手から剣が離れ、地面に落下した。


カラン。



「「あ⋯」」


ロサとロニの声が重なる。

シアンは「よっ」と発し、剣を拾い上げロサに渡した。


「な、難しいだろ」

「「はい⋯⋯」」


またしても声が重なる。やっぱり双子だな、とシアンは思った。


ん、双子?


自分の思考に少し疑問を抱く。双子には特性がある。何かしら共通したものを持っているという点だ。


例えば、視覚共有。双子同士の視覚は任意の時に見れるし見られる。

例えば、ユニット。二人で一つの魔法の濃度が濃くなり、威力が跳ね上がる。通常の3倍の力になる。


そのように、何かしら特徴があるのだ。

だがロサとロニの場合、今のところ二人自身が認識している特性は無いようだし、シアンの観察眼(まぁ、大したものではないのだが)でも見つからない。


絶対に何もないということはない。

だとすると⋯⋯。

頭の中に一つの可能性がよぎる。


いや、ありえないな。


フルフルと頭を左右に振り、考えを消す。


「シアンさん?どうかしましたか」


ロニが怪訝な顔をして聞いてくる。

ロサはというと、何かおかしなものを見てしまったように視線を反らしている。


「いや、何でもない。」


何でもない。と声に出して割り切ったはずなのにやはり引っかかる。

シアンは晴天を見つめながら自分の考えを無理やり奥に押し込んだ。


           ✦


「再度コツを伝える。今度は実践してみよう」


収納袋からコップを取り出す。


「本当になんでも入っていますね」 

「どんだけはいるんですか、それ」


ロサとロニが不思議そうな顔をしている。


「実の所、俺自身も分からない。友人に貰ったものだから。友人曰く、家が余裕で10個は入ると行っていた」


「「え!」」


ロサとロニがお互いの顔を見つめ合った。


後に2人は、国家が保持するレベルを優に超えてる凄さの袋だと後に教えてくれた。

が、そんなことシアンは今知る由もない。


「じゃあ、水を入れるぞ」

「「はい」」


シアンは意識をコップに集中させた。

勢いは強すぎず蛇口をゆっくりと捻るイメージで。


「■■■■」


ゆっくりと水が出てくる。

次第にコップの半分を満たし、6割、7割、8割、9割、と満タンに近づいたころで留めた。


「ここまで来たら更に威力を弱める。細い糸をイメージするとやりやすい」


10割を満たしたところでまた留める。 


「ここまで来たら、葉から水滴が落ちるイメージで水を出していく」


表面張力を働かせ、水面が膨らみ緩やかな孤を描く。


「これで終了だ。次はロサとロニがやってみろ」

「「はい」」


何故か声の温度が低いように感じた。

分かりにくかっただろうか。


          ✦


「コップの満タンをイメージ⋯⋯コップの満タンをイメージ⋯⋯コップの満タンをイメージ⋯⋯!」


ロサはブツブツと呟きながら魔力を込めている。


「⋯⋯」


ロニは剣に全神経を集中させて魔力を込めている。


よしよし、いい感じだな。2人とも飲み込みが早い。

だが、少しりきみすぎている。

あれじゃあ剣が壊れる。


少し、補助してやるか。

そう思った時ふと、誰かの言葉が頭によぎった。


ーー  何も考えずに人を助けては駄目だ。

    それは、ただの偽善だ。



自分の記憶であり、違うような不思議な記憶。声。

その声は何故か心に響いた。


もう少し、見守るか。

その言葉は何故か心を穏やかにした。


          ✦


「で、できましたよ。シアンさん」

「俺も、できました」


あれから3時間後、日が沈み辺りが橙色に染まり始めた頃。


2人は遂に成し遂げた。

竜族⋯⋯

寿命⋯⋯500年ほど。竜の種類によって変わる。

特性⋯⋯体に鱗を持って生まれる。ガタイがよい。魔力   耐性が高い。

竜化可能なものと不可能なものがいる。

竜族は基本的に派手好き。

竜族には、銀髪の髪は生まれない。

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