【序章】騎士団編ー⑥
「は⋯⋯意味分かんねぇ。剣が折れたのは俺だ」
「勝負が始まる前に私は負けたから⋯⋯」
「?」
ものすごく疑問の表情を浮かべている。
「剣⋯⋯ユークラシスに投げてもらったから」
「はぁ?理由はそれだけか?」
「準備をしっかりしていないというのは勝負の土俵に立っていないってことだ。土俵に立っていない私よりもライゼルの方が優れている。当たり前だよ、ルール以前の問題だ」
「それは、あんたが阿呆ってだけだろ。そんなことで⋯⋯」
「そんなことじゃないんだよ、」
やはり、納得してくれないか。
「後日、しっかりとした再戦をまたしよう」
「⋯⋯」
「すまなかった、ライゼル」
腰を折り、頭を下げる。頭を上げると驚愕の表情を浮かべているライゼルが目に入った。
「団長とは違う意味でお前⋯⋯いゃ、シアンさんはいい人なんだな」
ライゼルはふっと緩むような笑みを浮かべた。
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side ユークラシス
「ユークラシス〜まじやらかした。どうしよう〜」
時は夜。
シアンは団長室のソファーに腰を掛けていた。
「終わったことを悔やんでも仕方がありませんよ」
「そんなこと言ってもさぁー」
「まあまあ」
「完全になめられた、接戦にして勝つつもりだったのに。剣を忘れるなんて阿呆すぎる」
「⋯⋯確かに阿呆ですね、貴方らしくない」
「え」
想定外の返しに驚いたのか、落としていた肩をあげ目の前に座るユークラシスの事を凝視してくる。
「貴方はもっと、しっかりした人でした」
「え」
瞼を落とすと昔の彼の様子が思い浮かぶ。
何に対しても生真面目で慎重。それはもう、愚直なほど。相手がどんなに卑怯でもまっすぐに向き合う。
戦いには必ず応じるし、一度会った相手を忘れるなんて無粋な真似はしない。
「照れるな、そんなに褒めるなよ」
そういって鼻の下を伸ばして擦る。
「別に褒めているわけではありませんよ」
でも、全てが変わっているわけではないんですね。
そのことに少し安心してユークラシスは微笑んだ。
✦
「騎士達には情けない姿をみせた。明日からどう接すればいいのか⋯⋯」
「あの子達は意外と気にしてませんよ」
「そうか?」
「はい⋯⋯私があの子達の前で情けない姿を見せてもドン引きされるだけですし、翌日には普通に接してきますよ!しかもフレンドリーなんですよ。団長の私にもナヨナヨしてるからか、友達みたいに接してきますし。だからこそ、私もあの子たちに厳しくできなくなって訓練が甘くなってよくないのですが」
それ、フレンドリーっていうのか⋯⋯?
「自分でナヨナヨしてるっていうのかよ」
「はい、自覚ありますし。だからこそ外部の人間に指導されることで成長すると思っています」
「早速舐められた気がするが」
「気の所為ですよ!」
ユークラシスは背をソファーに預け天を仰いだ。そして「ふぅ」と息を吐く。
その後、視線をシアンに向けてきた。
「てことで、明日から厳しく指導してくださいね」
「ユークラシスは友達だからいうけど、師匠から穏やかで真面目っていう設定で働けって言われてるんだよ。履歴書にも書いてあっただろ?厳しくしたら崩壊する。もうすでにしてる気がするけど」
「なら問題ないじゃないですか?」
「確かに⋯⋯?」
「はい!もう既に崩壊してるところをいきなり明日から穏やかで真面目な感じで言ったら変だと思いませんか」
「なんか、そう言われたらそんな気がしてきた」
「てことで、明日からよろしくお願いしますね」
乗せられた気がしなくもないけど、もう考えないことにしよう。
エルフ族⋯⋯
長耳が特徴
年齢 平均10000年ほど生きると言われている。
実際のところはあやふやである。
容姿は成長期が過ぎた後から死ぬまで基本的に
変わらない。
エルフ族は魔力量が多い。
エルフ族には、銀髪が生まれない。




