⑧スキル発現
「うわあ、なにそれ、きもぉ」
つい口をついた。だって身長170センチの薄青色のぷるぷるした成人男性やもん。全裸やし。
……うわ。
そこで一つ理解した。これが同調の力か。チビの気持ちがなんとなく流れ込んでくる。
[ 怒 ]
ちびさん。ごめんねきもいとか言って。
そしてふと下半身に目をやる。
ん?なあなあ、もうちょっと大きいはずやで?
[ 否 ]
なんやねん!
「ほんでなんかその状態やったらアイテムボックスに入れるの嫌やわ。戻れるん?」
そうぼやくとチビは元の状態に戻った。ぷるぷる。
「おお、良かった〜。これ何のメリットがあんのかな?あとで考えよな。」
1層ボスの恩恵でステータスが見えるようになった。
【花村善 Lv.5】
魔力:8/42
スキル:魔力操作(小)
【スライム Lv.5/10】
スキル:同調
魔力量は42、これでチビのご飯の量が見えるな。
スキルは魔力操作か。身体強化や魔力感知、耐久強化あたりと並ぶ、一層ボス報酬の一つだ。
あと、アイテムボックスに入れなくてもチビのステータスが見えるようになっていた。
とにかく今日は疲れた。うちに帰ろう。
「アイテムボックス」チビをしまう。
ん?これまでチビを入れた時に感じていた圧迫感がない。レベルアップか同調の力か?
なんにせよありがたい。これでドロップアイテムが持ち帰りやすい。
ゴブリンの腰布 ×3
魔石小 ×3
棍棒 ×1
ホブゴブリンの腰巻 ×1
ホブゴブリンの魔石 ×1
ボスを倒した際に現れた扉を開け、階段を上る。
階段を上りきると2人の自衛官が立っていた。
「おお!ソロですか!1層クリアおめでとうございます。」
「あ、どもです」勢いが強くてびっくりした。
「こちらをどうぞ。クリアの証明書になります。受付でご提示ください。」
数字の羅列が手書きされた証明書をもらった。日付と通し番号をくっつけたのだろう。いかにも急場しのぎの管理票で変な安心感を覚えた。
2層入口にも転移ゲートと呼ばれているモヤがあり、そこから入口に戻ることができる。
「ありがとうございました。」
そう言うと自衛官が敬礼してくれた。
俺は合っているかも分からない敬礼を返し、モヤに足を踏み入れた。
あんなにマッチョなホブゴブリンによく勝てたもんだ。チビ、ありがとう。
◇
「はい、次の方〜」
呼ばれて受付へと向かう。
「1層クリアの報告に来ました」
「それでは証明書を確認します……はい、大丈夫です。それでは大阪ダンジョン一層、ホブゴブリン討伐、クリア登録しますね」
「おめでとうございます。こちらでダンジョンアプリの予約区分が更新されますので、優先予約枠をご利用いただけます」
「優先予約!」
思わず声が大きくなる。職員が小さく微笑んだ。
「はい。一般枠よりかなり取りやすくなるはずです。」
スマホに目を落とす。
何度も見た一般予約の横に、見慣れない文字列、【二層到達者予約】の表示が増えていた。
今まで憎たらしかったページが一転、輝いて見えた。
◇
「いや全然取れへんやないかーい」
帰宅後、次の予約だけ取っとくかと優先枠のページを見るが、オール赤文字「満員」やないかい。
全く取れない、が、かなり取りやすくなっても、めっちゃ取れないくらいなんやろな。知らんけど。
「チビ、ご飯食べよか。体重測ってからな。」
「118kg。2kg痩せたな。」
誤差やん。これダイエット無理ちゃう。増加量の方が確実に大きいわ。
【花村善 Lv.5】
魔力:10/42
魔力は大体30分で1回復した。眠ると回復量が増すんだって。
チビが擦り寄ってくる。薄青色の体に手をムニッと突っ込み、手先に魔力を集める。
チューっと魔力が吸われていく。倦怠感を感じる。
チビからは満足した、という感覚が流れてくる。
【花村善 Lv.5】
魔力:2/42
「うわ、食べたなあ」
8も吸われるとは。運動してお腹空いたんか?
ペシペシ叩いておく。
もう朝やけどちょっとだけ寝よう。
なんてったって今日はもう月曜日。
「チビ、今日もありがとう。おやすみ」
会社行ったらいけもんに自慢しよう。どんな顔するかな。
読んでいただいてありがとうございます。
本当に嬉しいです。
ですが、毎日投稿がもう間に合いません……!
今後は週一ペースでぼちぼち書いていきたいと思います。
よろしくお願いします!!




