首無し死体と祠通り 4
神に助けを求める罪人の処刑を描いた絵画のような光景を見つめる。
思考が繋がったのは、何分なのかそれとも何時間経ったのか。
はっと息を吐く。呼吸すら忘れていたようだ。
落ち着こうと深呼吸をすると血の匂いが鼻に広がった。
「とりあえずは、警察に連絡」と思考を整理するように呟く。
スクールバックに入れていた携帯を取り出し、110番を打とうとした所でやっと手が震えていることに気づいた。
自分が思っていたより死体を発見することに衝撃を受けていたようだ。
うまくダイヤルを押せず、携帯を滑らせ拾おうと反射的に出た足に当たったことで鳥居近く転がってしまった。
いつも通りに動かせない足で鳥居の下に向かい携帯を拾いあげようと腰をかがめたその瞬間に強烈な視線を感じた。
いや、視線といっては語弊がある。
それほどに強すぎる背中に突き刺さるプレッシャー。
じとりとじわりと感じる圧力に体が震える。
視線ではなくこれは殺気だ。
おそらくじゃない。確実に。
今、僕を殺そうとしている。
それがわかった瞬間、震える歯を食いしばって腰をかがめた体勢から勢いよく振り返る。
だがそこには誰の姿もなかった。
「誰もいない…?」周りを見渡すが特にさっきまでと変わりはない。
けれど、殺気は消えていない。
今もしっかりと僕を見ていることが感覚的にわかる。
そして、思考がつながった。
腰をかがめた時に背中に突き刺さるということは、背を空に向けた時。つまりは上からの殺気。
バッと見上げる。
するとそこには、雨どいに捕まるように咲いている一輪の花があった。
いや、花というにはあまりにも不相応だ。
あれは、そんな綺麗なもではなく、醜悪な形態をしている。
だけども、それをあえて表現するなら花ということが合うだろう。
四メートルほどの体格のそれはピンク色の花弁を咲かせ、本来めしべがついている位置には人のような形状の大きな口があり歯を見せてにったりと笑っている。
そこから電柱くらいの太さの茎が真っ直ぐ伸び、途中で二股に分かれ足のようになっている。
人間でいう手の部分だろうか。それは、葉っぱのようでハート形の左右非対称の大きさになって右手で鳥居を掴んでゆらゆらと体を揺らしている。
怪我しているのか黒い液体が漏れ出ていた。そんな花の化け物が鳥居につかまった状態でいたのだ。
次々起こる不測事態と異常事態。
ただそこにいる化け物を見つめ、動くことができない。
化け物が目の前に降りてくる。
しかし、動けない。
化け物の手が頬を這う
しかし、思考ができない。
化け物が手が首撫でる。
しかし、声が出ない。
手であろう葉には、まさに植物と言った湿った感触が首元にあった。
このまま締め殺されるのだろうかと死を覚悟した瞬間身体の力が抜けた。
膝から崩れ落ちるように前に倒れると言う受け身も取れないほどに化け物から逃れるようにガクンと後ろに倒れた。
鳥居の下から転げれるように倒れる。
太陽の光に目に鋭く入ってくる。
背中を地面に打ちつけた痛みで思考が戻ってくる。
はっとしたように化け物の方に目線を向けるとそこはもうもぬけの殻。
姿形が見えなくなっていた。
前後左右上下見渡しても先ほどみた化け物はいない。
「夢か???」という独り言があたりに響く。
だけれど、背中の痛みがそれは現実だと示している。夏の暑さを感じていたはずなのに今やそれがない。全身冷や汗で濡れいる。
動悸がすごいのに手足が冷たく生きた感覚がしない。
近くに転がっている携帯が目に入る。
そのまま視線を祠にむけるとそこにはやはり凄惨な最後を迎えた人がいるのだった。
拙い文ですが、最後までお付き合いいただきありがとうございます!!
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