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首無し死体と祠通り 2

 日誌を書き終えたのがホームルーム終了の三十分後の十一時半のことだった。


 雲が太陽を隠してはいるが、校門を出る頃にはじんわりと汗が背中から滲み出るのを感じる。


 学校から家までは十五分。

 さらに汗をかくなと歩くだけでも億劫になっていた。


 学校から家までは商店街を通るのが一番の近道ということもあり、その道をいつも通り帰ろうとしたが案の定商店街は祭りの準備で普段より人手が多い。



 鏡歌町は、吹きガラスで有名な町である。

 コップなどの食器はもちろん花瓶や風鈴も一つ一つガラス工房で手作りをしている。


 特に、風鈴に力を入れていて祭りになると商店街の商店と商店の間の通路の天井に這うように幾百もの風鈴が這うように吊るされているのである。


 県外からも見に来るほどで、鏡歌町の風鈴は綺麗で華やかと評価が高い。


 だからだろう。商店街は普段より人が遥かに多い。 まだ風鈴の取り付けが終わっていない場所もあるみたいでその取り付け作業などで場所をとっていた。

 

 ただでさえ、暑いというのに人が密集する道を通るのかと思うとため息が出てしまう。

 「引き返して道路側の道を通るか…」と小さく呟く。

 遠回りになるが仕方ないと思っていた時にふと目を入ったのがあの「祠通り」だった。

 



 地元に「祠通り」と昔から呼ばれている場所がある。

 そこは、商店街とその隣にある道路を結び、標準体型をした大人が片手を広げて通れるほどの道幅の通り道である。

 商店とビルに囲まれた道は大体三十メートルほどで太陽の光を遮って暗く湿った空気が漂っている。

 

 普通なら気にも止めないような場所だろう。

 しかし、「祠通り」と言う名前がついているのは他でもなく「祠」がそこに存在しているからである。

 

 商店街側から入り、歩いていくと丁度中間地の左手に少し広げた空間がある。


 商店街からも道路からも死角になっており、四方を商店に囲まれながらも鳥居と祠が共にあるのだ。


 門として神社で見かけるほどの大きさの赤い鳥居が建物にギリギリ当たらないように建っている。


 その奥には低い石階段の上に祠があり、ひっそりとしながらもしっかりとした存在感でそこにあるのだ。

  

 人伝に聞いた話によると商店街の建設するよりももっと昔からあり、取り壊すこともしなかったせいかそんな歪な形で今もなおそこに存在し続けている。

 

 商店街から道路に繋がる便利な通りではあるが、道が狭く暗いことと他にも繋がっている広い道があるという理由でわざわざそこを通ろうとする人はほとんどいない。

 



 かくゆう僕も「祠通り」を小学校の頃たった一度しかない。


 その理由もよくある肝試しだった。

 他学年合同授業として小学三年の時に地元について勉強する機会があった。

 内容としては、地元のことを各自紹介しようというものだった。


 美味しいたい焼き屋さんや公園の遊具、地元名産の風鈴が軒下に飾られている吹きガラス屋を紹介する子が多い中一人「祠通り」の話を発表した子がいたのだ。

 周りの大人はそこを不気味がっていい場所と捉えていないと言うのは、子どもながらも感じていた。

 

 しかし、その子が実際行ってみた感想は、「祠はきらきらして綺麗だった」と言うのだ。

 

 時期が夏ということもあり、怪談話などがクラスでチラホラ出ているタイミングでのことだ。


 すぐにその不可思議な話は広まり、近場に行ける肝試しスポットとして取り上げられた。

 

 小学生が自由に動ける範囲は限られているものの地元にそんな場所があるのなら好奇心旺盛な年頃の子は行ってしまうのは仕方がないことだろう。

 

 実際、僕も放課後に無理矢理クラスメイトにつられて行ったことがある。


 今となっては記憶が大分薄れているが、周りが戦々恐々となりながらも進んでいった暗く重苦しい道に浮世離れした祠があるのだけはしっかりと頭に残っていた。


 別に怖いという感情はなかったのだが、なんというかそこにあまりいたくないという感覚にさせられる。

 

 そんな「祠通り」を再び通るという選択をしたのが人生の別れ道になるとはこの時の俺は思いもしなかった。

 

拙い文ですが、最後までお付き合いいただきありがとうございます!!


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