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これは三度目で、最後の世界だと信じている

エマがこの世界で笑うようになってから、

俺はふと、一週目と二週目を重ねてしまうことがある。


塔の書庫で本を抱える姿に、

孤児院の裏庭で木の枝を宝物のように抱えていたエマを思い出す。


魔力制御でつまずいて、

情けなさそうに笑う横顔に、

二週目の世界で、疲れた顔でもスマホの画面に笑おうとしていた彼女が重なる。


エマは、一週目のことを知らない。

俺と一緒に孤児院を抜け出した日も、

初めて手を繋いだ夕暮れも、

名前を呼び合いながら眠った夜も知らない。


それでいい、と今は思える。


彼女は「一度だけ死んで、二度目の人生をここで生きている」と信じている。

そのくらいに、世界の残酷さを薄めておいてもいい。

すべてを覚えている必要などない。


その代わりに――俺が全部覚えていればいい。

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