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(最終章)“ずっと一緒にいて”の答え

夜。

塔の屋上。

風が静かに流れて、星の光が一面に落ちてくる。


リュカはエマの隣に立ち、

しばらく星空を見上げていた。


「……エマ」


「なに?」


「俺は、おまえに言いたいことがある」


エマは横を向く。

リュカは風の音を切るような静かな声で続けた。


「おまえを閉じ込めたいわけじゃない。

 おまえを縛りたいわけでもない。

 ただ——」


紫の瞳が、真っ直ぐにエマを見つめる。


「おまえが俺の隣を“選んでくれる”なら……

 それだけでいい」


エマはゆっくり目を瞬く。


選ぶ。

その言葉が胸の奥に静かに落ちる。


「リュカ。

 私はね……あなたのそばが、一番安心するんだ」


「……エマ」


「あなたがいる場所が、私の帰る場所だよ」


リュカの指が震え、

そっとエマの手を包む。


「……選んでくれたのか」


「うん。選ぶよ」


「俺を?」


「うん」


リュカは息を吐き、

まるで長い呪いから解かれたみたいに小さく笑った。


「エマ。

 これからの未来は……全部、おまえと歩く」


「私もだよ」


風が通り抜け、

花畑の甘い匂いが運ばれてくる。


星空の下。

二人の手はほどけず、

ただ静かに確かに結ばれていた。


——世界がどう変わっても、

 帰る場所はひとつ。


——二人が選んだその場所に、

 これからも、ずっと。


【おしまい】


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