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監視という名の添い寝
「ど、どうしたんですか、リュカ……先生」
慌てて言い直したのを、彼はわずかに目を細めて聞いていた。
「寝顔を見に来た」
「理由になってませんよね!?」
「エマはよく悪夢を見る。前にも泣いて起きた」
言われてみれば、この世界に来てから何度か、目が覚めると涙の跡が頬にあった気がする。
前世の残滓なのかもしれない。
「今日は、そばにいてやる」
そう言って、自然な流れでベッドの端に腰を下ろす。
「ちょ、ちょっと待ってください添い寝って単語が今さらっと聞こえたんですけど!?」
「安心しろ。何もしない」
「それ一番信用できないやつ!」
けれど、布団の上からそっと握られた手は、驚くほどあたたかくて。
文句を言いながらも、まぶたが少しずつ重くなっていく自分がいた。




