表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/102

少しの距離が、彼には耐えられない

その日の夜。

エマは自室で日記を書いていた。


すると、扉が静かにノックされる。


「エマ」


「入っていいよ」


ゆっくり扉が開き、リュカが姿を見せた。


「……いるとわかっていても、

 扉の向こうにおまえがいるのは……落ち着かない」


「えっ」


「距離があるのが……嫌だ」


珍しく、視線をそらした。


「昼間……少しだけ“離れる可能性”を考えた。

 ただの封筒だったのに。

 ……それが、怖かった」


あの招待状を破った理由がわかってしまう。


「……私、逃げたりしないよ」


「言葉だけでは足りない」


「じゃあどうしたら安心するの?」


リュカはゆっくり歩み寄り、

エマの手を包んだ。


「手を……握っていてほしい」


「そんなことで……?」


「そんなこと、ではない。

 俺にとっては、必要だ」


その声はあまりにも真っ直ぐで、

エマはそっと手を握り返した。


「……はいはい。握るよ」


「……ありがとう」


ふっと、彼の肩の力が抜けたのを感じた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ