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塔の新結界、“恋人判定機能”つき
昼。
塔の玄関で、ゴーレムがエマに深々と頭を下げた。
「エマ様、お帰りなさいませ」
「お、おお……毎回慣れない……」
ふと気づく。
「ねえ、リュカ。この結界……なんか光が増えてない?」
「増やした」
「また!?」
「エマの心が乱れたときだけ、塔が自動で知らせるようにした」
「心理センサー!?」
さらに追い打ちの説明が続く。
「そして……
“エマに恋愛感情を抱く者”が近づいた時も反応する」
「なにその機能ぉ!!?」
「必要だ」
即答だった。
エマは頭を抱える。
「恋愛感情って……そんなに簡単に判別できるの?」
「魔力の揺らぎを読めばわかる。
おまえに向く好意など、すぐに排除できる」
「排除の言い方やめてぇ!!」
でも、一つ気づいた。
「ねえ……じゃあ逆に、私が“リュカを大切に思ってる”って気持ちも……」
「わかる」
一瞬で返ってくる。
「わかるの!?」
「おまえの魔力は、俺を見るときだけ……温度が違う」
胸がどくん、と跳ねた。
「……恥ずかしい……」
「もっと見せろ」
「要求が重い!!」
でも、その目はとても優しかった。




