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“ずっと一緒にいてほしい”の意味

夜。

塔の外の風が静かに鳴る中、リュカがぽつりと呟いた。


「……エマ」


「なに?」


「俺は、おまえを閉じ込めたいわけではない」


エマは驚いて彼を見る。


「……本当に?」


「閉じ込めれば、おまえは笑わなくなる」


図星だった。


「だから、おまえが笑っている限り、自由にしていい」


「それなら良かった……」


「だが」


「だが?」


リュカはエマの手をそっと触れる。


「俺のそばにいることが、

 おまえの“自由”になっていればいい」


エマは一瞬、言葉を失った。


胸の奥が、じんわり熱くなる。


「……なってるよ」


「何が?」


「リュカのそばにいること……いやじゃないどころか、

 むしろ……安心する」


リュカは息を飲む。


エマは続けた。


「だから私は、自分の意思でここにいるんだよ」


静寂が落ちる。


そして――


「……エマ」


名前を呼ぶ声が震えていた。


「おまえは……俺の光だ」


エマはそっと笑った。


「リュカこそ、私の安心だよ」


二人の距離が、ゆっくり近づく。


暖炉の火が、静かに二人を照らしていた。



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