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魔法の杖、実は“連絡用”だった
エマが使っていた魔法の杖。
その杖の根元に、小さな魔法陣が刻まれていることに気づいた。
「……ちょっと、これって……」
「気づいたか」
リュカが静かに手を差し伸べる。
「その杖には、おまえの魔力が乱れたとき俺に知らせる機能がある」
「また監視アイテム増えてる……!」
「監視ではない。“保護”だ」
「言い方で意味を変えようとしないで!?」
リュカは杖を手に取り、エマに返すときに軽く指先で触れた。
「魔力が弱ったり、不安が増えたらすぐわかる」
「いや、そこまで敏感にしなくていいよ!?」
「必要だ」
エマはため息をつきながらも、
杖を握ると指先がほんのり温かい。
(……私を守ろうとしてのこと、なんだよね)
胸がじんとする。




