49/102
魔力の相性が良すぎる二人
魔力の同期訓練の日。
「今日は特別だ」
「え、また近いの?」
「近いどころか――密着する」
「……は?」
説明を求める間もなく、リュカはエマをそっと抱き寄せた。
背中に腕が回り、胸を軽く合わせる形になる。
「こ、これ訓練……だよね?」
「訓練だ」
(嘘じゃない……けど近すぎるよ!?)
魔力が重なり合い、ゆっくりと流れが一つになる。
お互いの魔力が呼吸のように混ざる感覚に、胸が熱くなる。
「……エマの魔力は俺に合う」
「リュカの魔力も……あったかい……」
「もっと深くまで流れ込ませたい」
「なんか言い方が危ない!」
けれど、魔力は確かに相性が良かった。
混ざり合う瞬間、
まるで二つの心が重なるようで――
エマの胸がじんわり満たされていく。
「……不安が、なくなる」
「なら、ずっとこうしていればいい」
リュカがしっかり腕を抱き寄せる。
「逃げられないように」
「逃げないよ……逃げようとしてない!」
でも、それを言う声は笑ってしまっていた。




