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魔力干渉の訓練は“手を離さない”前提
最近、エマは体調も戻り、魔力も安定してきた。
「今日は魔力干渉の訓練をする」
リュカがそう言って、手を差し出してくる。
「……また近い訓練だったりする?」
「当然だ。手をつなげ」
エマはため息をつきつつも、手を握る。
その瞬間、指が絡め取られた。
「指、からめる必要ある?」
「離さないためだ」
「離れようとしてないよ!?」
二人の魔力が互いに流れ始める。
距離が近いほど繊細に感じ取れるらしく、リュカの息がほんの少しだけ触れた。
「……エマの魔力は、温かい」
「リュカの魔力も、ちゃんと感じるよ」
「それだけじゃ足りない」
「また欲張りが出た!」
訓練のはずなのに、胸の方が先に熱くなる。
彼がどれだけエマを求めているか、魔力の流れでわかってしまうから。
「……もう少しだけ、このまま」
「リュカ?」
「おまえの魔力に触れていると、落ち着く」
「私の方が緊張してるんだけど!?」
それでも、手は離されなかった。




