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回復後、離れたくないのはどっち?
翌朝。
熱は下がり、エマがベッドから起き上がると――
リュカは目の下に薄いクマを作って座っていた。
「リュカ……寝てないの?」
「おまえが苦しんでいるのに、眠れるわけがない」
「いや、あなたが倒れたら困るんだけど!?」
エマが慌てて水を差し出すと、
リュカはそれを飲み、静かにつぶやいた。
「……エマ」
「うん」
「もう少し……そばにいてほしい」
その言い方が、あまりにも弱くて。
いつもの強い声ではなく、迷子みたいに脆くて。
エマは自然と手を伸ばし、リュカの手を包んだ。
「そばにいるよ。
昨日も今日も……これからも」
リュカはぎゅっとエマの手を握り返す。
「……よかった」
「そんなに不安だったの?」
「おまえが苦しむ姿は……俺には耐えられない」
そして、小さく呟く。
「……こうして触れていないと、落ち着かないんだ」
「え……それ、私より依存してない?」
「当然だ」
即答だった。
エマは苦笑しながらも、胸が温かくて、痛いほど嬉しかった。




