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急な発熱と、過保護すぎる看病
午後。
急な寒気がして、エマはふらっと倒れそうになった。
「……あ、れ……?」
「エマ!」
リュカの腕がすぐに支える。
手を当てられた額が熱い。
「熱だ」
「魔力の使いすぎかな……?
ちょっと休めば――」
「ベッドだ」
そのまま軽々と抱き上げられる。
「わっ……! 歩けるよ!?」
「倒れたらどうする」
「倒れてないよ!」
「これから倒れる」
「予言者!?」
ベッドに寝かされると、リュカは魔法でひんやりした布を作り、額にそっと置く。
「冷たすぎないか?」
「だ、大丈夫……」
心配性にもほどがあるほど、何度も何度も確認してくる。
「水は? 喉は? 痛みは? 魔力の揺らぎは?」
「質問多いよ!」
「おまえの状態は、全部把握したい」
「把握される側の気持ちも考えて!?」
けれど、眠りに落ちる寸前。
耳元で、優しい声が聞こえた。
「……エマ。
苦しいときは、俺が代わってやれればいいのに」
その言葉に、涙がこぼれそうになった。




