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誕生日を祝うはずが…愛の独占宣言
塔のメイド長マリアが、エマに小さな包みを差し出す。
「エマ様、本日はお生まれになった日だとか」
「えっ、そうなの? この世界に来た日の記憶が曖昧で……」
可愛いリボンのついた包みを受け取ると、リュカが静かに横に来た。
「……誰からの贈り物だ」
「いや、マリアさんからだよ!?」
不機嫌オーラが急速に濃くなる。
「……エマ」
「なに」
「この塔で“おまえの記念日”を祝えるのは、俺だけだ」
「いやそれはもう独占宣言なんよ……」
マリアが慌てて両手を振った。
「いえいえ主様! 私はただ、ささやかな気持ちで!」
「気持ちはエマの負担になる」
「ならないよ!?」
その場で半ば強制的にリュカのプレゼント贈与タイムが始まる。
差し出されたのは、細い銀の指輪だった。
青い石がひとつ、エマの瞳に似た色だ。
「……これ」
「おまえの魔力と俺の魔力を繋ぐ。塔のどこにいても、おまえがわかる」
「……また監視系!?」
指にはめられた瞬間、ほんのり温かい光が走った。
(……でも、綺麗だな)
指先を見ると、自然と胸が熱くなる。




