表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/102

塔の書庫で密室ふたりきり

塔の大書庫は、天井が見えないほど高い。

古い魔術書がずらりと並び、紙とインクの香りが満ちていた。

「ここ、ずっと来たかったんですよね」

「危険な書もある。勝手に触るな」

「はいはい、先生――」

「リュカ」

「……はい、リュカ」

満足そうに目を細める彼の横顔に、また心がざわつく。

魔法陣の調査でしゃがみこんだエマの横で、リュカも膝をついた。


距離が、近い。

本棚の影で灯りが揺れ、二人だけの空間ができあがる。


「……っ」

エマが立ち上がろうとした瞬間、ふらついて本棚に手をつく。

リュカが即座に腕を回して支える。


「危なっ――」

「気をつけろ」

囁き声が耳に触れる距離。

濃密な空気に、心臓がうるさく鳴る。

「触れるなら……言ってくれれば、ちゃんと支える」

「今のは事故ですよ!?」

「事故でも、俺がいい」

「会話が成立してない!」


でも――

抱きしめる腕は、優しくて、強かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ