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塔の鍵は、私専用?
塔の玄関ホールに、新しい魔法陣が描かれていた。
「これ……前はありませんでしたよね?」
エマが指をさすと、リュカは当たり前のように答える。
「おまえ以外、通れないようにした」
「は?」
聞き間違いではない。
「この塔、誰も入れなくなるじゃないですか!?」
「問題ない。必要な物資は転移で運ぶ」
「経済死ぬよ!?」
リュカは静かにエマの手を取ると、
そのまま魔法陣の中心へと連れ込んだ。
淡い光がふわりと二人を包み込む。
「ほら。おまえが触れている間なら、俺も通れる」
「……え、じゃあ私がいなきゃ外にも出られない……?」
「そうだ」
「依存度高すぎない!?」
リュカはエマの動揺を気にも留めず、普通の顔で言い添えた。
「安心しろ。おまえを閉じ込めたいわけじゃない」
(嘘だ……絶対ちょっと閉じ込めたいって顔してた……!)
でも、その手の温かさに、
なぜか胸の奥はあまり嫌がっていなかった。




