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魔法実験も命がけ
リュカの研究室は、塔の最上階にある。
「ここ、立ち入り禁止って聞いてましたけど」
「おまえは例外だ」
厚い扉の向こうには、本棚と魔法陣、瓶詰めの魔材がぎっしりと並んでいた。
「わー……ファンタジーの最上位空間……」
はしゃぐエマを見て、リュカはわずかに口元を緩める。
「今日は、魔力制御の訓練をする」
エマの前に、小さな光球が浮かんだ。
「これを崩さないように、両手で包め」
「こ、こうですか?」
おそるおそる触れると、じんわりと温かい。
次の瞬間。
「わわっ」
光が弾けかけたところを、リュカの腕が後ろから覆った。
彼の手がエマの手を包み込み、魔力の流れを整える。
「……危ない」
耳元で囁く声が、妙に近い。
「爆発したら、俺ごと吹き飛ぶところだった」
「え、そんな危険だったの!?」
「俺ごとなら、構わない」
「いや構って!?」




